ゼロから学ぶ土木施工管理

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令和7年度 1級土木施工管理技士 問題B No.29を解説、移動式クレーンの安全確保措置

令和7年度(2025年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定 問題B(施工管理法の応用能力)No.29は、移動式クレーンの安全確保措置に関する文章の空欄(イ)〜(ニ)に当てはまる語句の組合せを選ぶ、語句の穴埋め・組合せ型の問題です。四つの組合せ⑴〜⑷から、クレーン等安全規則に照らして四つの空欄がすべて正しく埋まる組合せを一つ選びます。

この問題のポイント

移動式クレーンの安全のきまりから、4つの空欄が出ています。

問われるのは、表示する荷重・搭乗の可否・運転の資格・作業開始前の点検項目の4点です。

引っかけは、その4つをそれぞれ隣の似た語に置き換える形で作られています。

※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢1(正しい語句の組合せ)

各空欄に入る語句

空欄入る語句なぜその語句か
(イ)運転者・玉掛け者が常時知るべき荷重定格運転者及び玉掛けをする者が定格荷重を常時知ることができるよう、表示その他の措置を講じる(クレーン則第70条の2)
(ロ)とう乗設備に労働者を乗せることができる原則は搭乗禁止だが、やむを得ない場合等は専用のとう乗設備を設けて乗せることができる(クレーン則第73条)
(ハ)車両系建設機械の技能講習修了者がクレーンの運転者として従事することはできないクレーン作業には別途、小型移動式クレーン運転技能講習等の資格が必要
(ニ)作業開始前に点検する項目ブレーキ、クラッチ及びコントローラーの機能巻過防止装置・過負荷警報装置その他の警報装置とともに点検する(クレーン則第78条)

選択肢⑴〜⑷の組合せ

組合せ(イ)(ロ)(ハ)(ニ)判定
定格ができるはできないブレーキ、クラッチ及びコントローラーの機能
つりはできないはできないワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無×
定格はできないができるブレーキ、クラッチ及びコントローラーの機能×
つりができるができるワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無×

選択肢1が正しい組合せになる理由

第一の空欄で、運転者と玉掛け者が常時知ることができるよう表示するのは定格荷重です。そのときつっている荷の重さ(つり荷重)ではありません。

第二の空欄は、搭乗の制限の例外です。原則として労働者を運搬したりつり上げて作業させたりはできません。

ただし作業の性質上やむを得ない場合は、つり具に専用のとう乗設備を設けて乗せることができます。

第三の空欄は、運転の資格です。車両系建設機械の運転技能講習を修了しているだけでは、クレーン作業の運転者として従事することはできません

つり上げ荷重が5t未満なら小型移動式クレーン運転技能講習、5t以上なら移動式クレーン運転士免許が別に要ります。

第四の空欄は、その日の作業開始前に点検する項目です。巻過防止装置・過負荷警報装置その他の警報装置と、ブレーキ・クラッチ・コントローラーの機能を見ます。

ワイヤロープやつりチェーンの損傷の有無は、玉掛け作業の日の開始前に確認する別の項目です。点検の対象がずれています。

⑵はつり荷重・搭乗できない・損傷の有無の三点で外し、⑶はとう乗設備と運転資格を逆にし、⑷は表示する荷重と点検項目を取り違えています。

覚え方

  • 運転者と玉掛け者が常時知るのは定格荷重、表示その他の措置を講じる(つり荷重ではない)
  • 移動式クレーンへの搭乗は原則禁止、やむを得ない場合等はとう乗設備で乗せられる(例外あり)
  • クレーン機能付き油圧ショベルのクレーン作業には、車両系建設機械の技能講習とは別の運転資格がいる
  • 作業開始前の点検はブレーキ・クラッチ・コントローラーの機能、巻過防止装置・警報装置とセット(玉掛け前のワイヤロープ点検と区別)

根拠となるクレーン等安全規則の条文

条文見出し内容
第70条の2定格荷重の表示等運転者及び玉掛けをする者が定格荷重を常時知ることができるよう、表示その他の措置を講じる
第73条搭乗の制限(例外)やむを得ない場合等はつり具に専用のとう乗設備を設けて労働者を乗せることができる
第78条作業開始前の点検巻過防止装置、過負荷警報装置その他の警報装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラーの機能を点検する

理解度チェック

問題:移動式クレーンを用いて作業を行うとき、事業者は、運転者及び玉掛けをする者がそのときつっている荷のつり荷重を常時知ることができるよう、表示その他の措置を講じなければならない。

〇か×か。

答え:×

常時知ることができるよう表示等を講じる対象はつり荷重ではなく定格荷重です。定格荷重はそのクレーンが安全につり上げられる最大の荷重で、運転者と玉掛け者が過負荷を避けるための基準になります。

問題:移動式クレーンを用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無について点検を行わなければならない。

〇か×か。

答え:×

作業開始前の点検項目は、巻過防止装置、過負荷警報装置その他の警報装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラーの機能です。ワイヤロープやつりチェーンの損傷の有無は、それらを用いて玉掛け作業を行うときの作業開始前に確認する別の点検項目です。

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出典・参考資料

  • 一般財団法人 全国建設研修センター「令和7年度 1級土木施工管理技術検定 第一次検定 問題B(施工管理法・応用能力) 問題」
  • クレーン等安全規則第70条の2(定格荷重の表示等)、第72条・第73条(搭乗の制限とその例外)、第78条(作業開始前の点検)。労働安全衛生法施行令第20条(就業制限に係る業務)、小型移動式クレーン運転技能講習ほか。厚生労働省・都道府県労働局の資料等。

※ 問題文は転載していません。移動式クレーンの安全確保措置は、厚生労働省が公開するクレーン等安全規則の条文や各労働局の資料で確認してください。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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