令和7年度(2025年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.31は、急傾斜地崩壊防止工に関する記述のうち、適当なものを選ぶ問題です。擁壁で崩壊土砂を抑える工法(重力式・もたれ式)と、切土法面を保護する法枠工(現場打ち・現場吹付・プレキャスト)について、各工法の定義や施工位置が正しく述べられているかを見分けます。
擁壁や法枠工の名前は似ていても、水抜き孔の向き、擁壁を据える位置、枠の作り方はそれぞれ決まっています。この問題は、定義や施工位置を少しずらす引っかけが並び、正しい記述は⑷だけです。⑴は水抜き孔の勾配、⑵はもたれ式擁壁の設置位置、⑶は現場吹付法枠工とプレキャスト法枠工の名前を、それぞれ取り違えさせようとしています。
※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢⑷(最も適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 重力式コンクリート擁壁工は、擁壁背面の水を排除するため水抜き孔を水平に設置する | ×(誤り) | 水抜き孔は水が抜けるよう前面へわずかに下り勾配を付ける。水平だと泥や砂がたまり排水しにくい |
| ⑵ もたれ式コンクリート擁壁工は、斜面崩壊を直接抑止することが困難な場合に、斜面脚部から離して設置する | ×(誤り) | もたれ式は斜面にもたれかからせて(脚部に接して)据える擁壁で、設置位置が逆 |
| ⑶ プレキャスト法枠工は、地山に金網等で作成した枠を張り付け、モルタル等を直接吹き付けるため、凹凸のある不整形な斜面にも施工できる | ×(誤り) | 金網に直接吹き付けるのは現場吹付法枠工の説明。プレキャスト法枠工は工場製の枠材を据え付ける |
| ⑷ 現場打ちコンクリート枠工は、切土法面の安定勾配が取れない場合や湧水をともなう場合等に用いられ、桁の構造は一般に鉄筋コンクリートである | ○(正しい) | 小段が取れない切土法面や湧水地に適し、桁は鉄筋コンクリートが一般的 |
⑴の重力式コンクリート擁壁は、自重で崩壊土砂の土圧に抵抗する工法です。背面にたまった水は土圧を増して擁壁を不安定にするため、水抜き孔で前面へ逃がします。このとき水抜き孔は水平ではなく、水が抜けるよう前面へわずかに下り勾配を付けて設置します。水平だと孔に泥や砂がたまり、排水の役目を果たしません。
⑵のもたれ式コンクリート擁壁は、擁壁だけでは自立せず、背面の地山に寄りかかることで安定する工法です。したがって斜面脚部から離すのではなく、斜面にもたれかからせて(脚部に接して)設置します。記述は設置位置が逆で、地山から離して据えると寄りかかる相手がなく成立しません。
⑶にある、地山に金網等で枠を作りモルタルを直接吹き付ける工法は現場吹付法枠工であって、プレキャスト法枠工ではありません。プレキャスト法枠工は工場で製作した枠材を運び込んで据え付ける工法で、ある程度整形された斜面が前提です。凹凸のある不整形な斜面になじませられるのは、現場で吹き付ける現場吹付法枠工の特長です。
適当なのは⑷で、現場打ちコンクリート枠工は、切土法面の安定勾配が取れない場合や湧水をともなう場合等に用いられ、桁の構造は一般に鉄筋コンクリートです。したがって適当なものは⑷です。
問題:もたれ式コンクリート擁壁工は、斜面崩壊を直接抑止することが困難な場合に、斜面脚部から離して設置される擁壁である。
〇か×か。
答え:×
逆です。もたれ式擁壁は斜面にもたれかからせて(脚部に接して)設置します。離して据えると寄りかかる地山がなく成立しません。
問題:地山に金網等で作成した枠を張り付け、モルタル等を直接吹き付けて造成する工法は、プレキャスト法枠工である。
〇か×か。
答え:×
それは現場吹付法枠工です。プレキャスト法枠工は工場で製作した枠材を運び込んで据え付ける工法です。
出典・参考資料
※ 問題文は転載していません。急傾斜地崩壊防止工の各工法は、急傾斜地崩壊防止工事技術指針等で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月
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