編集部
砂防えん堤は、水をためるダムと同じだと思っていませんか?目的は水ではなく土砂です。ここを取り違えると、過去問の正誤判定でつまずきます。
この記事の要点
砂防えん堤は、土砂の流出を抑えるために渓流に設ける構造物です。水をためるダムとは目的が違います。
本えん堤・水通し・袖・前庭保護工などからなり、施工には決まった順序があります。過去問での問われ方も押さえます。
砂防えん堤は、山地の渓流に設けて、土砂が一気に流れ出すのを防ぐ構造物です。上流側に土砂をため、下流への流出を抑えたり調節したりします。
砂防えん堤は、渓流からの土砂の流出を抑え調節するために設ける構造物で、本えん堤・水通し・袖・前庭保護工などからなります。
砂防えん堤の主な目的は、土砂の生産や流出を抑え、調節することです。上流に土砂をためて川の勾配をゆるやかにし、渓流の浸食や土石流による被害を防ぎます。渓床の安定をはかる床固工とともに、砂防の基本となる構造物です。水量を調節するダムとは目的が異なります。
砂防えん堤は、土砂をためる本体と、その下流を守る部分に分かれます。断面で見ると役割の場所がつかめます。
本えん堤は、土砂をためる本体です。中央には水を越流させる水通しを設け、その両側の袖は、洪水を越流させないよう両岸に向かって上り勾配にします。
前庭保護工は、越流した水や土砂による下流部の洗掘を防ぐ部分です。本えん堤を越えた水の衝撃をやわらげる水叩き、本えん堤の下流に設ける副えん堤、両者の間にできて落下水のエネルギーを拡散・減勢させるウォータークッション(水褥池)などからなります。
砂礫層の上に施工する場合は、下流を守る部分を先に固めてから本体を仕上げます。一般的な順序は次のとおりです。
本えん堤と水叩きを最後に同時に施工するのではない点に注意します。
混同しやすい用語
砂防えん堤 と ダム
形は似ていますが、目的が違います。砂防えん堤は、土砂の流出を抑え調節するための構造物で、上流に土砂をためます。ダムは、水をためて水量を調節する(利水や治水の)構造物です。ためる対象が土砂なら砂防えん堤、水ならダム、と分けて覚えます。
砂防えん堤は、1級・2級とも目的・構成・施工が正誤判定で問われます。問われ方は3つの型に分かれます。
①目的の取り違え(土砂か水か)、②基礎の施工(根入れの深さ・大転石の扱い)、③各部の名称と施工順序(水通し・前庭保護工・ウォータークッション)です。
砂防えん堤の主目的を「洪水の防止や調節」とする記述は誤りです。主目的はあくまで土砂の流出の抑制・調節で、水量調節のダムと取り違えないことが大切です。
| 年度・級 | No. | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 平成22年度・1級 | No.24 | 砂防えん堤の施工。基礎を「できるだけ浅く施工する」とする誤り(洗掘防止のため深く根入れする) |
| 平成24年度・1級 | No.24 | 基礎の施工。大転石が地下に2/3以上もぐっていても「すべて取り除く」とする誤り(残してよい) |
| 平成25年度・2級 | No.17 | 砂防えん堤の構造。各部の名称(水通しは逆台形で水や土砂を越流させる、前庭保護工など)の対応 |
| 平成26年度・2級後期 | No.17 | 主目的を「洪水の防止・調節」とする誤り(目的は土砂の抑制・調節)。ウォータークッションは減勢のプール |
覚えるのは、目的は土砂(水ではない)であること、基礎は深く根入れすること、そして各部の名称と下流側を先に固める施工順序です。
問題:ウォータークッションは、本えん堤と副えん堤の間にできる水を湛えたプールで、落下する水のエネルギーを拡散・減勢させる。
〇か×か。
答え:〇
ウォータークッション(水褥池)は本えん堤と副えん堤の間にでき、落下水のエネルギーを拡散・減勢させます。
問題:砂防えん堤の主な目的は、洪水を防止し水量を調節することである。
〇か×か。
答え:×
砂防えん堤の主な目的は、土砂の生産や流出を抑え調節することです。水量を調節するダムとは目的が異なります。平成26年度(2級後期)No.17では、目的を「洪水の防止・調節」とする記述が誤りとして問われました。
問題:袖は、洪水を越流させないように、両岸に向かって上り勾配で設ける。
〇か×か。
答え:〇
袖は洪水を越流させないために、両岸に向かって上り勾配で設けます。越流は中央の水通しに集めます。
砂防えん堤は、渓流からの土砂の流出を抑え調節する構造物です。
土砂をためるのが目的で、水をためるダムとは役割が違うのがいちばんの注意点です。
本えん堤・水通し・袖・前庭保護工からなり、施工は下流側を先に固めてから本体上部を仕上げます。
参考資料
※ 用語・施工順序は標準的な内容です。基準の改定や現場条件で変わるため、最新の資料で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年6月