ゼロから学ぶ土木施工管理

ゼロから学ぶ土木施工管理
  1. HOME > 河川・砂防 > 海岸堤防の形式は過去問でどう問われる?

海岸堤防の形式は過去問でどう問われる?

けんせつる

けんせつる

直立型と傾斜型、どこでどっちを使うの?

海岸堤防の形式って、何で決まるの?

この記事の要点

海岸堤防の形式は、前面の勾配で直立型・傾斜型・混成型に分かれます。さらに緩やかな傾斜型を緩傾斜型と呼びます。

地盤・用地・水深・親水性で使い分けます。過去問での問われ方も押さえます。

海岸堤防は、高潮や波から背後の土地を守る構造物です。前面の勾配によって形式が分かれ、現場の条件に合わせて選びます。

海岸堤防の形式は、前面の勾配によって直立型・傾斜型・混成型に分かれ、地盤・用地・水深・親水性に応じて使い分けます。

海岸堤防の3つの形式

前面が壁のように急なものから、ゆるやかな斜面状のものまであります。並べて見ると違いがはっきりします。

海岸堤防の形式(直立型・傾斜型・混成型)の比較模式図 直立型 傾斜型 混成型
海岸堤防の形式の比較模式図(形状は実物どおりではありません)。各形式とも左側が海です。混成型は下部のマウンドの上に直立部をのせた形です。

直立型

直立型は、前面が壁のように急な形式です。基礎地盤が比較的良好で、堤防用地が容易に得られない(狭い)場所に向きます。天端や法面の利用は難しく、親水性には乏しい形式です。

傾斜型

傾斜型は、前面が緩やかな斜面状の形式です。基礎地盤が比較的軟弱な場所や、堤防の直前で砕波が起こる場合に向きます。さらに勾配を緩くした緩傾斜型は、人が水辺に近づきやすく、親水性の要請が高い場合に適します。

混成型

混成型は、直立型と傾斜型を組み合わせた形式です。下部に捨石などのマウンドを設け、その上に直立部をのせます。水深が割合に深く、比較的軟弱な基礎地盤に適します。

形式の選び方

4つの条件で整理すると選びやすくなります。

  • 基礎地盤が良好で用地が狭い…直立型
  • 基礎地盤が軟弱、堤防直前で砕波が起こる…傾斜型
  • 親水性の要請が高い…緩傾斜型
  • 水深が深く、比較的軟弱な地盤…混成型

なお、海岸堤防でも表のり面は被覆工で覆い、法先には根固工を設けて洗掘を防ぎます。

混同しやすい用語

海岸堤防 と 海岸護岸

どちらも海から陸を守りますが、立ち位置が違います。海岸堤防は、背後の土地より高く土砂などを盛り上げて、高潮や波の越流を防ぐ構造物です。海岸護岸は、もともとある海岸の地盤や斜面の前面を覆って、波による浸食や崩れを防ぐ構造物です。盛り上げて防ぐのが堤防、既存の地盤を覆って守るのが護岸、と分けて覚えます。

過去問でどう問われたか

海岸堤防の形式は、2級でくり返し問われています。形式とその適する条件(地盤・用地・水深・親水性)を入れかえる引っかけが中心です。

  • ①直立型は基礎地盤が良好で用地が狭い場合に適する(軟弱地盤や用地が広い場合とするのは誤り)
  • ②親水性の要請が高い場合は緩傾斜型が適する(直立型とするのは誤り)
  • ③傾斜型は軟弱地盤や砕波が起こる場所、混成型は水深が深く比較的軟弱な地盤に適する
年度・級・No.問われ方/引っかけ
平成25年度 2級後期 No.25親水性の要請が高い場合に「直立型が適する」とするのは誤り(親水性は緩傾斜型)←核心
令和3年度 2級前期 No.25直立型を「比較的軟弱な地盤で用地が容易に得られない場合に適する」とするのは誤り(直立型は基礎地盤が良好で用地が狭い場合)
令和7年度 2級 No.30各形式と適地の組み合わせを問う。混成型は水深が深く比較的軟弱な地盤に適する(正しい記述)。形式と適地のすり替えに注意

核心は親水性と形式の対応です。親水性の要請が高い場合に「直立型が適する」とする記述は誤りで、人が水辺に近づきやすい緩傾斜型が適します。直立型は基礎地盤が良好で用地が狭い場所に用いる形式です。

理解度チェック

問題:基礎地盤が比較的軟弱な場合には、傾斜型の海岸堤防が適している。

〇か×か。

答え:

軟弱地盤では、沈下に追従しやすい傾斜型が適します。地盤が良好で用地が狭い場合は直立型が向きます。

問題:親水性の要請が高い場合には、直立型の海岸堤防が適している。

〇か×か。

答え:×

親水性の要請が高い場合は、人が水辺に近づきやすい緩傾斜型が適します。直立型は天端や法面の利用が難しく、親水性に乏しい形式です。

問題:混成型は、水深が割合に深く、比較的軟弱な基礎地盤に適する。

〇か×か。

答え:

混成型は下部にマウンドを設けて上に直立部をのせる形式で、水深が深く比較的軟弱な地盤に適します。

まとめ

海岸堤防の形式は、前面の勾配で直立型・傾斜型・混成型に分かれます。

地盤が良好で用地が狭ければ直立型、軟弱地盤なら傾斜型、親水性重視なら緩傾斜型、水深が深ければ混成型が基本の使い分けです。

形式と適する条件の組み合わせが、過去問で繰り返し問われます。

参考資料

  • 農林水産省・国土交通省「海岸保全施設の技術上の基準・同解説」
  • 国土交通省「海岸堤防・護岸」関連設計資料

※ 形式・適用条件は標準的な内容です。基準の改定や現場条件で変わるため、最新の資料で確認してください。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

過去問解説

このサイトについて

Topへ >>

  1. HOME > 河川・砂防 > 海岸堤防の形式は過去問でどう問われる?