令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題B)No.27は、工程管理曲線(バナナ曲線)を用いた工程管理について、①〜④のうち適当なものだけをすべて挙げている組合せを選ぶ問題です。
バナナ曲線の勾配、下方限界に接近したとき、上方限界を超えたとき、予定工程曲線が許容限界から外れるときという4つが並びます。
上方限界を超えるのは進み過ぎで、遅れではありません。③は上方限界を超えたときに工程遅延で突貫工事が不可避になるとしており、上と下を取り違えています。
①も勾配の向きが逆です。適当なものは②と④になります。
※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:②④(適当なものだけをすべて挙げている組合せ)
| 記述 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ① 出来高を表す曲線の勾配が、初期→中期→後期で急→緩→急となるようにする | ×(適当でない) | S形工程曲線は初期と後期が緩く中期が急。正しくは緩→急→緩 |
| ② 実施工程曲線が限度内でも下方限界に接近している場合は、直ちに対策をとる必要がある | ○(適当) | 下方限界への接近は遅れの合図 |
| ③ 実施工程曲線が上方限界を超えたときは、工程遅延により突貫工事が不可避となるので施工計画を再検討する | ×(適当でない) | 上方限界超えは進み過ぎ。遅延ではない |
| ④ 予定工程曲線がバナナ曲線の許容限界から外れるときは、不合理な工程計画と考えられるので再検討を要する | ○(適当) | 実施の前に計画が成り立っていない |
バナナ曲線は、予定の出来高に対して上方限界と下方限界の2本を引き、その間に実施工程曲線が入っているかを見る管理図です。下は遅れ側、上は進み過ぎ側で、外れたときの意味がまったく違います。
| 状態 | 意味 | とる対応 |
|---|---|---|
| 下方限界に接近・下回る | 工程が遅れている | 直ちに対策。遅れを挽回する(突貫工事が必要になるのはこちら) |
| 上方限界を超える | 予定より進み過ぎている | 大型機械を余分に入れていないか等、不経済になっていないか検討する |
| 予定工程曲線が許容限界から外れる | 計画そのものが成り立っていない | 実施の前に工程計画を再検討する |
②は、限度内に収まっていても下方限界に近づいていれば手を打つという内容です。限界線は「そこまでは許される」線であって、張り付いていてよい線ではありません。近づいた時点で作業の進め方を見直します。
④は予定工程曲線の話です。まだ実施していない段階で許容限界から外れているなら、計画自体に無理があります。人員や機械の割り当て、作業の順序から見直します。
①の勾配は、工事の進み方の形です。着手直後は準備や段取りがあって出来高が伸びず、中盤で本格的に進み、終盤は仕上げや後片付けで再び緩やかになります。だから緩やかに始まり、中期で急になり、また緩やかになるS字の形になります。①は急と緩を入れ替えています。
令和6年度の同じ枠では、②の位置に「下方限界に接近した状態をできるだけ維持する」という肢が置かれ、これが不適当でした。同じ下方限界への接近で、対応の向き(維持するか、直ちに対策するか)だけを変えて正誤を作っているので、状態と対応の組み合わせで読みます。
問題:実施工程曲線が上方限界を超えたときは、工程遅延により突貫工事が不可避となる。
〇か×か。
答え:×
上方限界超えは進み過ぎです。突貫工事が必要になるのは下方限界を下回ったときです。
問題:実施工程曲線が限度内でも下方限界に接近している場合は、直ちに対策をとる必要がある。
〇か×か。
答え:〇
限界線は張り付いていてよい線ではありません。
出典・参考資料
※ 許容限界の幅の数値には踏み込んでいません。問題文と記述も転載していません。
※ この記事の確認日:2026年7月