令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.16は、鋼道路橋を架設するときの留意事項について、適当でないものを選ぶ問題です。No.16からNo.49までの34問のうち10問を選ぶ、専門土木の選択問題の先頭にあたります。
ベントの固定、箱形断面の桁の吊り上げ、曲線桁橋の移動作業、トラス橋の上げ越し量という4つの場面が並びます。
桁を吊る準備がどこで済んでいるべきかで正誤が分かれます。吊り金具や補強材は工場で取り付けるのが原則で、現場に運び込む時点では吊れる状態になっています。
選択肢2は、重くて吊りにくいから現場で取り付ける必要があるという流れで書かれています。重いことは工場で先に付けておく理由になり、現場で付ける理由にはなりません。
※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢2(最も不適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 供用中の道路に近接するベントと架設橋桁は、桁受け点位置でズレが生じないよう、ワイヤーロープや固定治具で固定するのが有効である | ○(正しい) | 供用中の道路の側では、桁がずれる事態そのものを起こさない |
| ⑵ 箱形断面の桁は重量が重く吊りにくいので、吊り状態における安全性を確認するため、吊り金具や補強材は現場で取り付ける必要がある | ×(誤り) | 取り付ける場所が逆。吊り金具や補強材は工場で取り付ける |
| ⑶ 曲線桁橋の桁を横取り、ジャッキによるこう上又は降下等で移動させる場合は、必要に応じてカウンターウエイト等を用いて重心位置の調整を行う | ○(正しい) | 曲線桁は重心が桁の中心線から外れるため、調整して吊る |
| ⑷ トラス橋の架設では、最終段階でのそりの調整は部材と継手の数が多く難しいため、架設の各段階における上げ越し量の確認を入念に行う | ○(正しい) | 後で直しにくい形式では、途中の各段階で確認する |
吊り金具は桁に溶接などで取り付ける部材で、桁の重さがそこに集まります。工場で取り付けて品質を確認しておくことで、現場では吊るだけの状態にできます。
現場で取り付けるとすれば、高所での溶接作業になり、足場と検査の手間が増えます。重くて吊りにくい箱形断面の桁ほど、工場での取付けと補強で吊り状態の安全性を先に確かめておく形になります。
選択肢2は「吊り状態における安全性を確認するため」という目的までは正しく、取り付ける場所だけを現場に置き換えています。目的と手段のうち手段側をすり替える組み方です。
⑴は供用中の道路に近接する場面で、桁受け点のズレを許さないための固定です。⑶の曲線桁橋は平面的に曲がっているため重心が読みにくく、カウンターウエイト等で調整します。⑷のトラス橋は部材と継手が多く、完成間際にそりを直すことが難しいため、各段階で上げ越し量を確認します。したがって適当でないものは選択肢2です。
問題:箱形断面の桁は重量が重く吊りにくいので、吊り金具や補強材は現場で取り付ける必要がある。
〇か×か。
答え:×
吊り金具や補強材は工場で取り付けます。現場での高所作業を増やしません。
問題:トラス橋の架設では、最終段階でのそりの調整が難しいため、各段階における上げ越し量の確認を入念に行う。
〇か×か。
答え:〇
部材と継手が多く後から直しにくいため、途中の段階で確認します。
出典・参考資料
※ 日本橋梁建設協会「架設工事の留意点」および日本道路協会「道路橋示方書・同解説」はPDF・市販図書のため、本記事では条項・数値には踏み込んでいません。問題文と選択肢も転載していません。
※ この記事の確認日:2026年7月