令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.17は、鋼道路橋の鉄筋コンクリート床版にコンクリートを打ち込むときの留意事項について、適当でないものを選ぶ問題です。
打継目の置き方、片持ち部の型枠支保工、勾配がある床版の打込み方向、連続桁の打込み順序という4つが並びます。
鋼橋の床版は、橋の幅の方向に並ぶ主桁の間に架かる板として働きます。輪荷重は近い主桁へ流れるため、床版で力が卓越するのは橋軸直角方向(幅員方向)で、主鉄筋もこの向きに入ります。
選択肢1は、この主応力の向きを橋軸方向と書き替えています。打継目をどこにどの向きで置くかは主応力の向きを前提に決めるため、前提が入れ替わると結論まで狂います。
※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢1(最も不適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 打継目は、床版の主応力が橋軸方向に作用し、打継目の完全な一体化が困難なことから、橋軸方向に設けた方がよい | ×(誤り) | 主応力の向きが逆。床版で力が卓越するのは橋軸直角方向 |
| ⑵ 片持ち部床版の張出し量が大きくなると、打込み時の振動の影響や型枠のたわみが大きくなるので、十分に堅固な型枠支保工を組み立てる | ○(正しい) | 片持ちは支えが片側だけなので、たわみと振動が出やすい |
| ⑶ 床版に縦断勾配及び横断勾配が設けられている場合は、コンクリートが低い方に流動することを防ぐため、低い方から高い方へ向かって打ち込む | ○(正しい) | 低い側から埋めていけば、後から流れ落ちる先がない |
| ⑷ 連続桁では、ある径間に打ち込んだコンクリート重量で桁がたわみ他径間が持ち上げられることがあるので、床版への引張力が小さくなるよう打込み順序を検討する | ○(正しい) | 持ち上げられた径間の床版は上側が引っ張られる |
鋼橋の鉄筋コンクリート床版は、橋軸方向に連続して並ぶ主桁で支えられ、幅員方向には途中で支えられていません。輪荷重は最も近い主桁へ伝わるため、曲げが卓越するのは橋軸直角方向で、主鉄筋もこの向きに配置されます。
選択肢1は「主応力が橋軸方向に作用し」としており、この前提が事実と逆です。打継目はコンクリートが完全に一体化しにくい弱点なので、主応力の向きを見て、その力が打継目を横切らない置き方を選びます。
前提が逆になれば、打継目を置く向きの結論も逆になります。選択肢の後半だけを読んで判断せず、前半の主応力の向きから確かめます。
⑵の片持ち部は、張出しが大きいほど型枠のたわみと打込み時の振動の影響を受けます。⑶は低い側から打ち込めばコンクリートの流下先がなくなるという理屈で、⑷は連続桁のたわみで隣の径間が持ち上げられ、その床版に引張力が生じる現象です。したがって適当でないものは選択肢1です。
問題:鋼道路橋の鉄筋コンクリート床版では、主応力は橋軸方向に作用する。
〇か×か。
答え:×
床版は主桁の間に架かる板として働くため、力が卓越するのは橋軸直角方向です。
問題:縦断勾配や横断勾配のある床版では、コンクリートが低い方に流動することを防ぐため、低い方から高い方へ向かって打ち込む。
〇か×か。
答え:〇
低い側を先に埋めれば、後から流れ落ちる先がなくなります。
出典・参考資料
※ 日本橋梁建設協会「鋼橋RC床版施工手順書」および日本道路協会「道路橋示方書・同解説」はPDF・市販図書のため、本記事では打継目の位置に関する条項・数値には踏み込んでいません。問題文と選択肢も転載していません。
※ この記事の確認日:2026年7月