令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.20は、コンクリート構造物のひび割れを図で4つ示し、水和熱に起因する温度応力によって施工後の比較的早い時期に発生すると考えられるものを選ぶ問題です。
図そのものは公開物のため再現せず、ひび割れの出方と原因の対応で解きます。
水和熱による温度ひび割れは、部材軸と垂直方向に直線状で、ほぼ等間隔に規則的に発生するという出方をします。壁のように下側を既設の底版やフーチングで拘束された部材では、この向きのひび割れが幅も大きく、部材を貫通することが多くなります。
4つの図はいずれも施工の早い時期に出るひび割れに見えるものが混ざっています。時期だけで絞ろうとすると迷うため、ひび割れの向き・間隔・出る場所の3点で原因を切り分けます。
※ 問題文と図の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢1(水和熱に起因する温度応力によるひび割れ)
| 選択肢 | ひび割れの出方 | 考えられる原因 | 判定 |
|---|---|---|---|
| ⑴ | 底版に拘束された壁で、部材軸と垂直方向の直線状ひび割れがほぼ等間隔に並ぶ | 水和熱による温度応力(外部拘束) | ○(該当する) |
| ⑵ | 型枠のセパレータの位置に沿ってひび割れが出る | 沈下ひび割れ。打込み後数時間で鉄筋やセパレータの直上に出る別の型 | 該当しない |
| ⑶ | 打ち重ね部に沿って水平方向にひび割れが出る | コールドジョイント。打重ね時間の管理不足で生じる別の型 | 該当しない |
| ⑷ | 面全体に広がる亀甲状(網目状)のひび割れ | アルカリシリカ反応。膨張による劣化で、早い時期ではない | 該当しない |
セメントと水の反応で出る熱によってコンクリートは膨張し、その後の冷えで縮みます。壁の下側が既設の底版やフーチングに固定されていると、この縮みが自由に起こせず、部材軸と垂直方向に引っ張られて直線状のひび割れがほぼ等間隔に並びます。
外部から拘束されて生じるこの型は、幅が大きく部材を貫通していることが多いため、耐久性や水密性を大きく下げます。マスコンクリートや壁状構造物で警戒するのはこの出方です。
⑵の沈下ひび割れは、打込み後数時間のうちに、水平鉄筋の上や型枠のセパレータの位置に規則性のある直線として出ます。時期は早いものの、原因はフレッシュコンクリートの沈み込みで、温度応力ではありません。
⑶のコールドジョイントは、打ち重ねまでの時間が開いて先に打ったコンクリートが固まり始めたときに、打ち重ね部に沿って水平方向に現れます。⑷の亀甲状のひび割れはアルカリシリカ反応による膨張で生じるもので、施工後の早い時期という条件に合いません。したがって該当するものは選択肢1です。
問題:水和熱に起因する温度応力によるひび割れは、部材軸と垂直方向に直線状で、ほぼ等間隔に規則的に発生する。
〇か×か。
答え:〇
外部から拘束された部材では、この向きのひび割れが貫通していることも多くなります。
問題:型枠のセパレータの位置に沿って出るひび割れは、水和熱による温度ひび割れである。
〇か×か。
答え:×
沈下ひび割れです。打込み後数時間で、鉄筋やセパレータの直上に出ます。
出典・参考資料
※ 図はJCTCの公表物のため再現せず、ひび割れの出方と原因の対応表に置き換えています。土木学会「コンクリート標準示方書」および国土交通省の温度ひび割れ制御対策の手引きはPDF・市販図書のため、判定基準や数値には踏み込んでいません。
※ この記事の確認日:2026年7月