令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.36は、トンネルの山岳工法における施工時の観察・計測について、適当でないものを選ぶ問題です。
観察・計測の目的、計測項目、結果の整理、変位計測の測定頻度という4つが並びます。
測定頻度の密と疎が引っかけです。地山と支保工の変位は掘削の直後に大きく動き、時間がたつにつれて収束していきます。だから掘削直後は密に、切羽が離れるに従って疎にという設定になります。
選択肢4はこれを反対に書いています。動きの大きい時期を粗く測れば、危険の兆候を見落とします。
※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢4(最も不適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 観察・計測の目的は、切羽の状況や既施工区間の支保部材、周辺地山の安全性を確認し、現場の実情にあった設計に修正して、工事の安全性と経済性を確保することである | ○(正しい) | 掘って分かったことを設計に返す |
| ⑵ 観察・計測の項目には、坑内からの切羽の観察調査、内空変位測定、天端沈下測定や、坑外からの地表等の観察調査、地表面沈下測定等がある | ○(正しい) | 坑内と坑外の両方から見る |
| ⑶ 観察調査結果や変位計測結果は、施工中のトンネルの現状を把握して支保パターンの変更等施工に反映するため、速やかに整理しなければならない | ○(正しい) | 次の掘進に間に合わなければ意味がない |
| ⑷ 変位計測の測定頻度は、挙動の経時変化・経距変化が把握できるように、掘削前後は疎に、切羽が離れるに従って密になるように設定しなければならない | ×(誤り) | 密と疎が逆。掘削直後は密に、切羽が離れるに従って疎にする |
トンネルを掘ると、切羽の近くでは地山がゆるみ、内空変位や天端沈下が短い時間で進みます。この動きは切羽が前へ進むにつれて小さくなり、やがて収束します。覆工コンクリートを打つ時期も、この変位が収束したことを確認してから判断します。
したがって測定は、動きの大きい掘削直後に密に行い、切羽が離れて動きが小さくなるにつれて間隔をあけます。変化の速い時期に細かく測るという考え方は、他の計測管理でも同じです。
選択肢4は「経時変化ならびに経距変化が把握できるように」という目的までは正しく書いています。頻度の設定だけを反対にしているため、目的と手段が矛盾する形になっています。
⑴は観察・計測の目的で、掘って分かった地山の実情を設計に反映させます。⑵は坑内と坑外の両方から見る計測項目の内訳、⑶は結果を速やかに整理して支保パターンの変更に反映させる運用です。したがって適当でないものは選択肢4です。
問題:変位計測の測定頻度は、掘削前後は疎に、切羽が離れるに従って密になるように設定する。
〇か×か。
答え:×
逆です。掘削直後は密に、切羽が離れるに従って疎にします。
問題:観察・計測の項目には、坑内からの切羽の観察調査や内空変位測定に加え、坑外からの地表面沈下測定等がある。
〇か×か。
答え:〇
坑内と坑外の両方から、トンネルと周辺地山の挙動を見ます。
出典・参考資料
※ 土木学会「トンネル標準示方書 山岳工法・同解説」は市販図書、地方整備局の計測管理要領はPDFのため、本記事では測定間隔の具体的な日数・距離には踏み込んでいません。問題文と選択肢も転載していません。
※ この記事の確認日:2026年7月