令和6年度(2024年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.19は、場所打ち杭工法における施工に関する記述のうち、適当でないものを選ぶ問題です。リバース工法やオールケーシング工法の孔壁保護、スライム処理、ケーシングチューブ引抜き時の留意点が正しく述べられているかを見分けます。
オールケーシング工法では、コンクリート打込みが完了したあとにケーシングチューブを引き抜きます。引き抜くとその分だけ孔内のコンクリートが横に広がり、天端の高さが下がります。選択肢4は「コンクリート天端が下がることはない」としていますが、実際は下がるため、あらかじめ下がり量を見込んで余盛りしておきます。天端が下がるのか下がらないのかを取り違えていないかが問われます。
※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢4(最も不適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ リバース工法では、安定液のような粘性のあるものを使用しないため、一次孔底処理により泥水中のスライムはほとんど処理できる | ○(正しい) | 粗粒子が沈降しやすく、一次孔底処理でスライムを処理できる |
| ⑵ オールケーシング工法では、掘削孔全長にわたってケーシングチューブを用いて孔壁を保護するため、適切に施工すれば孔壁崩壊の懸念はほとんどない | ○(正しい) | ケーシングチューブで全長の孔壁を物理的に保護する |
| ⑶ リバース工法では、表層地盤の崩落防止のためにスタンドパイプを使用し、その下端は安定した粘性土層に根入れするのがよい | ○(正しい) | スタンドパイプ下端は安定した粘性土層に根入れする |
| ⑷ オールケーシング工法では、コンクリート打込み完了後にケーシングチューブを引き抜いても、コンクリート天端が下がることはない | ×(誤り) | ケーシングチューブを引き抜くとコンクリート天端は下がる。下がり量を見込んで余盛りしておく必要がある |
ケーシングチューブは、掘削孔の孔壁を保護しながらコンクリートを打ち込むための鋼管です。打込み完了後にこの鋼管を引き抜くと、それまでケーシングチューブが占めていた体積の分だけコンクリートが周囲へ広がり、その結果コンクリートの天端は下がります。
オールケーシング工法ではケーシングチューブを引き抜くとコンクリート天端は下がるので、「下がることはない」は逆で誤りです。実際の施工では、この下がり量を見込んで杭天端の設計高さより高めに打ち込む余盛りを行います。⑴の一次孔底処理によるスライム処理、⑵のケーシングチューブによる孔壁保護、⑶のスタンドパイプの根入れはいずれも正しい記述です。したがって適当でないものは選択肢4です。
場所打ち杭では、掘った孔が崩れないように工法ごとに違う方法で孔壁を保護します。この保護の仕組みが選択肢の正誤を分けます。代表的な3工法は次のとおりです。
| 工法 | 孔壁の保護 | 施工上のポイント |
|---|---|---|
| リバース工法 | スタンドパイプ+孔内水位を地下水位より高く保ち、静水圧で孔壁を押さえる | スタンドパイプ下端は安定した粘性土層に根入れ。一次孔底処理でスライムを処理する |
| オールケーシング工法 | 掘削孔の全長にケーシングチューブを挿入して物理的に保護する | 孔壁崩壊の懸念が少ない。ケーシング引抜きでコンクリート天端が下がるため下がり量を見込む |
| アースドリル工法 | 表層はケーシング、それ以深は安定液(ベントナイト泥水)で孔壁を保護する | 安定液の比重・粘性の管理が要点 |
問題:オールケーシング工法では、コンクリート打込み完了後にケーシングチューブを引き抜いても、コンクリート天端が下がることはない。
〇か×か。
答え:×
ケーシングチューブを引き抜くとコンクリート天端は下がります。あらかじめ下がり量を見込んで余盛りしておきます。
問題:リバース工法では、スタンドパイプの下端を安定した粘性土層に根入れして表層地盤の崩落を防ぐ。
〇か×か。
答え:〇
スタンドパイプ下端を安定した粘性土層に根入れし、表層地盤の崩落を防ぎます。
出典・参考資料
※ 問題文は転載していません。場所打ち杭工法は、杭基礎施工便覧(日本道路協会)等で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月