令和6年度(2024年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.54は、下水道工事における薬液注入工法の注入効果の確認方法に関する記述のうち、適当でないものを選ぶ問題です。現場透水試験、室内の三軸圧縮試験、標準貫入試験、フェノールフタレイン試薬による確認という4つの方法を見分けます。
誤りは、砂地盤の強度増加を三軸圧縮試験で確認するときに何を見るかにあります。砂質地盤に薬液を注入すると、土粒子の間隙に薬液が浸透して固結し、もともと砂にはほとんどない粘着力が付加されます。強度の増加はこの粘着力の変化に現れます。⑵が粘着力と内部摩擦角を入れ替えていないかが問われます。
※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢2(最も不適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 現場透水試験の評価は、注入改良地盤で行った試験結果に基づき、透水性に関する目標値、設計値、得られた透水係数のばらつき等から総合的に評価する | ○(正しい) | 1点の値でなく、目標値・設計値とばらつきを合わせて判断する |
| ⑵ 砂地盤の強度の増加を室内の三軸圧縮試験により確認する場合は、地盤の粘着力の値は変化しないといわれていることから、内部摩擦角の変化で判断する | ×(誤り) | 砂地盤では薬液の固結により粘着力が付加されるため、粘着力の変化で判断する |
| ⑶ 標準貫入試験結果の評価はN値の増減を見て行い、評価を行う際には同一地層でN値を平均する等の簡易的な統計処理を実施する | ○(正しい) | N値はばらつくため、同一地層でならして傾向を見る |
| ⑷ アルカリ系薬液の浸透状況を直接確認する場合は、注入箇所周辺を掘削し、フェノールフタレイン試薬を散布して薄い赤色に変色することを確認する | ○(正しい) | アルカリ性に反応する試薬で、薬液が届いた範囲を目で確かめる |
砂は粒どうしがかみ合う摩擦で強度を出す土で、粘着力はほとんど持ちません。ここへ薬液を注入すると、薬液が土粒子の間隙に浸透して固結し、粒どうしを接着します。粒の並び方や粒度が変わるわけではないので、摩擦に由来する性質は大きく変わらず、接着によって新たに強度が生まれます。
この変化は三軸圧縮試験の結果では粘着力として現れます。砂地盤の強度増加は粘着力の変化で判断し、内部摩擦角の変化で判断するのではない。⑵は粘着力と内部摩擦角を入れ替えています。⑴の現場透水試験を目標値・設計値とばらつきから総合的に評価すること、⑶のN値を同一地層で平均する等の統計処理、⑷のフェノールフタレイン試薬でアルカリ系薬液の浸透範囲を確認することは、いずれも正しい記述です。したがって適当でないものは選択肢2です。
問題:薬液注入した砂地盤の強度増加を三軸圧縮試験で確認する場合は、内部摩擦角の変化で判断する。
〇か×か。
答え:×
薬液の固結によって粘着力が付加されるため、粘着力の変化で判断します。
問題:アルカリ系薬液の浸透状況は、注入箇所周辺を掘削しフェノールフタレイン試薬を散布して確認できる。
〇か×か。
答え:〇
薄い赤色に変色する範囲が、薬液の届いた範囲になります。
出典・参考資料
※ 問題文は転載していません。薬液注入工法は、薬液注入工法による建設工事の施工に関する暫定指針等で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月