ゼロから学ぶ土木施工管理

ゼロから学ぶ土木施工管理
  1. HOME > 過去問解説 > 令和7年度(1級) > 問題B No.12 墜落災害の防止

令和7年度 1級土木施工管理技士 問題B No.12を解説、墜落災害の防止

令和7年度(2025年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定 問題B(施工管理法の応用能力)No.12は、建設工事における墜落災害の防止のため、事業者が講じなければならない措置に関する問題です。4つの記述のうち、労働安全衛生法令上、作業の高さの基準として正しいものを1つ選びます。安全に昇降するための設備、作業床の端の囲い、防網、悪天候時の作業禁止について、それぞれ何メートル以上(何メートル超)で義務がかかるかを見分けます。

この問題のポイント

墜落災害を防ぐ措置は、労働安全衛生規則で措置ごとに高さの基準が決まっています。安全に昇降するための設備等は高さ又は深さが1.5mを超える箇所(第526条)、作業床の端や開口部等の囲い・手すり・覆い等、防網と要求性能墜落制止用器具、悪天候時の作業禁止は高さ2m以上(第519条・第522条)です。選択肢⑴⑵⑶は、この高さの数値を条文とずらしています。数値が条文どおりなのは選択肢⑷だけで、高さ2m以上の悪天候時の作業禁止が正しく書かれています。

※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢4(作業の高さの基準として正しい記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤高さの基準
⑴ 高さ8m以上の箇所で作業を行うときは、原則として、労働者が安全に昇降するための設備等を設けなければならない×(誤り)安全に昇降するための設備等が必要なのは高さ又は深さが1.5mを超える箇所(第526条)。8mは条文より高い誤り
⑵ 高さ1.5m以上の作業床の端、開口部等で墜落のおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等を設けなければならない×(誤り)囲い・手すり・覆い等の設置義務は高さ2m以上の作業床の端・開口部等(第519条第1項)。1.5mは誤り
⑶ 高さ1.5m以上の作業床の端で囲い等の設置が困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させなければならない×(誤り)防網・要求性能墜落制止用器具の対象も高さ2m以上の作業床の端(第519条第2項)。1.5mは誤り
⑷ 高さ2m以上の箇所で作業を行う場合、悪天候のため危険が予想されるときは、その作業に労働者を従事させてはならない○(正しい)悪天候時の作業禁止は高さ2m以上(第522条)。高さの基準が条文どおりで正しい

高さの基準がずれている選択肢(⑴⑵⑶)

選択肢⑴は、安全に昇降するための設備等を設ける基準を高さ8m以上としています。安全に昇降するための設備等が必要になるのは高さ又は深さが1.5mを超える箇所(労働安全衛生規則第526条)で、8mは義務がかかる高さを大きく引き上げた誤りです。1.5mを超える段差やのり面、掘削箇所などにはタラップや階段などを設けます。

選択肢⑵は、作業床の端や開口部等の囲い、手すり、覆い等を設ける基準を高さ1.5m以上としています。囲い・手すり・覆い等の設置義務がかかるのは高さ2m以上の作業床の端・開口部等(第519条第1項)で、1.5mは条文より低い誤りです。昇降設備の1.5m超と混同させる引っかけになっています。

選択肢⑶は、囲い等の設置が困難なときに防網を張り要求性能墜落制止用器具を使用させる基準を高さ1.5m以上としています。防網と要求性能墜落制止用器具による代替措置の対象も高さ2m以上の作業床の端(第519条第2項)で、1.5mは誤りです。囲い等が本則、防網と墜落制止用器具はそれが困難なときの代替で、どちらも同じ2m以上が対象です。

選択肢⑷は、高さ2m以上の箇所で強風、大雨、大雪等の悪天候のため危険が予想されるとき、その作業に労働者を従事させてはならないとしています。労働安全衛生規則第522条の定めどおりで、高さ2m以上という基準も条文と一致するため、作業の高さの基準として正しい記述です。

墜落防止措置ごとの高さの基準

墜落を防ぐ主な措置と、それぞれ義務がかかる高さの基準を一覧にすると次のとおりです。

措置高さの基準根拠条文
安全に昇降するための設備等高さ又は深さが1.5mを超える箇所労働安全衛生規則 第526条
作業床の端・開口部等の囲い・手すり・覆い等高さ2m以上労働安全衛生規則 第519条第1項
防網・要求性能墜落制止用器具(囲い等が困難なとき)高さ2m以上労働安全衛生規則 第519条第2項
悪天候のための作業禁止高さ2m以上労働安全衛生規則 第522条

昇降設備だけが1.5m超で、ほかの3つは2m以上です。この1.5mと2mの境目が、選択肢の数値を入れ替える引っかけになります。

覚え方

  • 昇降設備は1.5m超、囲い・手すり・防網・悪天候中止は2m以上
  • 安全に昇降するための設備等=高さ又は深さが1.5mを超える箇所(第526条)
  • 囲い・手すり・覆い等=高さ2m以上の作業床の端・開口部等(第519条第1項)
  • 防網・要求性能墜落制止用器具=囲い等が困難なときの高さ2m以上の代替(第519条第2項)
  • 悪天候(強風・大雨・大雪等)による作業禁止=高さ2m以上(第522条)

理解度チェック

問題:安全に昇降するための設備等を設けなければならないのは、高さが8m以上の箇所で作業を行うときである。

〇か×か。

答え:×

安全に昇降するための設備等が必要になるのは、高さ又は深さが1.5mを超える箇所です(労働安全衛生規則第526条)。8mではありません。

問題:高さが2m以上の箇所で作業を行う場合において、強風、大雨、大雪等の悪天候のため危険が予想されるときは、その作業に労働者を従事させてはならない。

〇か×か。

答え:

労働安全衛生規則第522条の定めどおりで正しい記述です。高さ2m以上の箇所では、悪天候のため危険が予想されるときにその作業を行わせてはなりません。

令和7年度 1級土木施工管理技士 第一次検定 過去問解説 一覧へ

出典・参考資料

  • 一般財団法人 全国建設研修センター「令和7年度 1級土木施工管理技術検定 第一次検定 問題B(施工管理法・応用能力) 問題」
  • 労働安全衛生規則 第519条(作業床の端、開口部等の囲い等):第1項=高さが2m以上の作業床の端、開口部等で墜落のおそれのある箇所には囲い、手すり、覆い等を設ける。第2項=囲い等が著しく困難なとき又は作業上臨時に取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等の措置を講ずる。
  • 労働安全衛生規則 第522条(悪天候時の作業禁止):高さが2m以上の箇所で作業を行う場合、強風、大雨、大雪等の悪天候のため危険が予想されるときは、当該作業を行わせてはならない。
  • 労働安全衛生規則 第526条(昇降するための設備の設置等):高さ又は深さが1.5mをこえる箇所で作業を行うときは、当該作業に従事する労働者が安全に昇降するための設備等を設ける。

※ 問題文は転載していません。条文は e-Gov 法令検索の労働安全衛生規則で確認してください。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

過去問解説

よく学ばれる分野

このサイトについて

Topへ >>

  1. HOME > 過去問解説 > 令和7年度(1級) > 問題B No.12 墜落災害の防止