令和7年度(2025年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.55は、労働基準法が定める労働契約に関する記述のうち、誤っているものを選ぶ問題です。労働条件の明示、退職時の証明、賠償予定の禁止、法の基準に達しない契約の効力について、それぞれの条文を見分けます。
労働契約のルールは、立場の弱い労働者を守る向きに定められています。選択肢⑶は「使用者は違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をする必要がある」としていますが、労働基準法第16条は逆に、こうした契約をしてはならないと定めています(賠償予定の禁止)。労働者が金銭の負担を恐れて辞められなくなる事態を防ぐための規定で、禁止を「する必要がある」と義務のように書き換えた点が誤りです。
※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢3(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない | ○(正しい) | 労働条件の明示を使用者に義務づける規定(労働基準法第15条)で正しい |
| ⑵ 労働者が退職の場合において、使用期間、業務の種類、賃金等について証明書を請求したときは、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならない | ○(正しい) | 退職時等の証明を使用者に義務づける規定(労働基準法第22条)で正しい |
| ⑶ 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をする必要がある | ×(誤り) | 第16条はこうした契約を「してはならない」と定めており、「する必要がある」は禁止と義務が真逆。賠償予定の禁止に反する |
| ⑷ この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とし、無効となった部分はこの法律で定める基準による | ○(正しい) | 基準に達しない部分だけを無効とし法の基準で補う規定(労働基準法第13条)で正しい |
労働基準法第16条は「賠償予定の禁止」を定めた条文です。使用者は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額をあらかじめ決めておいたりする契約をしてはなりません。「1年以内に辞めたら罰金10万円」といった取り決めを禁じ、労働者が金銭の負担を理由に退職をあきらめる事態を防ぎます。
選択肢⑶は、この契約を「する必要がある」と義務のように書いています。賠償予定の禁止は「してはならない」であって、「する必要がある」とするのは禁止と義務が真逆です。なお、労働者が実際に会社へ損害を与えた場合に、使用者が現実に生じた損害額を立証して賠償を請求すること自体は禁じられていません。禁止されるのは、損害の有無や額にかかわらず支払わせる金額を前もって決めておくことです。
問題:使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をする必要がある。
〇か×か。
答え:×
労働基準法第16条は、違約金を定めたり損害賠償額を予定したりする契約を「してはならない」と定めています(賠償予定の禁止)。「する必要がある」は禁止と義務が真逆です。
問題:使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
〇か×か。
答え:〇
労働条件の明示は使用者の義務です(労働基準法第15条)。とくに賃金や労働時間などは、書面の交付などによって明示することが求められます。
出典・参考資料
※ 問題文は転載していません。条文は e-Gov 法令検索の労働基準法で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月