令和7年度(2025年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.58は、高さが5m以上のコンクリート造の工作物の解体作業で、事業者または作業主任者が行うべき事項を扱う問題です。労働安全衛生法令に照らして誤っているものを1つ選びます。同じ危険防止でも、事業者に課される措置なのか、作業主任者の職務なのかを見分けます。
解体作業の危険防止は、事業者が講じる「措置」と、作業主任者が果たす「職務」に分かれています。選択肢⑷は、器具や工具を上げ下ろしするときにつり綱、つり袋等を労働者に使用させる措置を作業主任者の職務としています。ところがこの措置は、労働安全衛生規則第517条の15で事業者に課された危険防止措置です。作業主任者の職務は、保護具や器具の使用状況を監視することであって、使用させる措置そのものを担うのは事業者だという点を取り違えさせる作りです。
※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢4(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 事業者は、外壁、柱等の引倒し作業を行うときは、引倒し等について一定の合図を定め、関係労働者に周知させなければならない | ○(正しい) | 引倒し等の合図の統一は事業者が講じる措置(労働安全衛生規則第517条の15)で正しい |
| ⑵ 作業主任者は、作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮しなければならない | ○(正しい) | 作業主任者の職務の第一号にあたる規定(労働安全衛生規則第517条の18)で正しい |
| ⑶ 事業者は、強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業を中止しなければならない | ○(正しい) | 悪天候時の作業中止は事業者が講じる措置(労働安全衛生規則第517条の15)で正しい |
| ⑷ 作業主任者は、器具、工具等を上げ、又は下ろすときは、つり綱、つり袋等を労働者に使用させなければならない | ×(誤り) | つり綱、つり袋等を使用させる措置は事業者の職務であり、作業主任者に主体をすり替えている。作業主任者の職務は使用状況の監視 |
コンクリート造の工作物の解体では、器具や工具を上げ下ろしする際に落下物で下の作業者が危険にさらされます。これを防ぐため、労働安全衛生規則第517条の15は、器具、工具等を上げ、又は下ろすときはつり綱、つり袋等を労働者に使用させることを事業者の措置として定めています。立入禁止の表示や悪天候時の作業中止と並ぶ、事業者が講じるべき危険防止措置の一つです。
選択肢⑷は、この措置を作業主任者の職務として書いています。つり綱、つり袋等を使用させるのは事業者の措置であり、作業主任者の職務は器具・工具や保護帽の点検と、それらの使用状況を監視することです(同規則第517条の18)。措置を講じる主体が事業者から作業主任者へすり替えられている点が誤りで、危険防止の内容そのものは正しいだけに見落としやすくなっています。
| 区分 | 誰が | 主な内容(第517条の15・第517条の18) |
|---|---|---|
| 危険防止の措置 | 事業者 | 作業区域への立入禁止の表示、悪天候時の作業中止、引倒し等の合図の統一、つり綱・つり袋等を労働者に使用させること |
| 職務 | 作業主任者 | 作業の方法及び労働者の配置の決定と直接指揮、器具・工具・保護帽の点検と不良品の除去、保護帽等の使用状況の監視 |
問題:コンクリート造の工作物の解体等作業主任者は、器具、工具等を上げ、又は下ろすときは、つり綱、つり袋等を労働者に使用させなければならない。
〇か×か。
答え:×
つり綱、つり袋等を労働者に使用させる措置は、労働安全衛生規則第517条の15で事業者に課された危険防止措置です。作業主任者の職務は、器具や保護帽の点検と、それらの使用状況を監視することです(同規則第517条の18)。主体が入れ替えられています。
問題:コンクリート造の工作物の解体等作業主任者は、作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮しなければならない。
〇か×か。
答え:〇
作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮することは、作業主任者の職務の第一号です(労働安全衛生規則第517条の18)。
出典・参考資料
※ 問題文は転載していません。条文は e-Gov 法令検索の労働安全衛生規則で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月