令和7年度(2025年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.60は、建設業法令が定める建設工事の請負契約に関する記述のうち、誤っているものを選ぶ問題です。著しく短い工期の禁止、不当に低い請負代金の禁止、現場代理人の書面通知、注文者による工事内容等の提示について、それぞれの規定を見分けます。
建設業法の請負契約の規定は、立場の弱くなりやすい請負人や下請を守る向きに組み立てられています。
問われるのは、注文者が工事内容等をいつまでに提示しなければならないかという期限です。
引っかけは、その期限を契約の直前まで後ろにずらし、請負人の見積りの時間を奪う形で作られています。
※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢4(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない | ○(正しい) | 著しく短い工期の禁止を注文者に課す規定(建設業法第19条の5)で正しい |
| ⑵ 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない | ○(正しい) | 不当に低い請負代金の禁止を定めた規定(建設業法第19条の3)で正しい |
| ⑶ 請負人は、工事現場に現場代理人を置く場合、現場代理人の権限に関する事項と、その行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法を、書面により注文者に通知しなければならない | ○(正しい) | 現場代理人を置いたときの書面通知を請負人に義務づける規定(建設業法第19条の2第1項)で正しい |
| ⑷ 建設工事の注文者は、請負契約の方法を競争入札に付する場合、工事内容等についてできる限り具体的な内容を契約直前までに提示しなければならない | ×(誤り) | 工事内容等は入札を行うまでに提示し、見積りに必要な期間を確保する。「契約直前までに」では見積り期間が確保できず逆(建設業法第20条第3項) |
建設業法第20条第3項は、注文者がいつ工事内容等を提示するかを定めています。
随意契約による場合は契約を締結するまでに、競争入札に付する場合は入札を行うまでに、工事内容や請負代金の額、工事の着手・完成の時期などを、できる限り具体的に提示しなければなりません。
あわせて、その提示から入札または契約までの間に、請負人が見積りをするために必要な期間(政令で定める期間)を設ける必要があります。
予定価格に応じて、500万円未満は1日以上、500万円以上5,000万円未満は10日以上、5,000万円以上は15日以上です。
選択肢⑷は、この提示を「契約直前までに」すればよいと書いています。工事内容等の提示は入札を行うまでに済ませ、そこから見積りに必要な期間を確保するのが正しく、締め切りを契約の直前まで後ろにずらすと見積りの時間が確保できず誤りです。提示が遅れれば請負人は十分な検討ができないまま金額を出すことになり、原価に満たない安値受注や後の紛争につながります。提示の遅らせを禁じているのがこの規定です。
問題:建設工事の注文者は、請負契約の方法を競争入札に付する場合、工事内容等についてできる限り具体的な内容を契約直前までに提示すればよい。
〇か×か。
答え:×
建設業法第20条第3項は、競争入札に付する場合は入札を行うまでに工事内容等を具体的に提示し、さらに見積りに必要な期間を確保するよう定めています。「契約直前までに」では見積りの時間が確保できず誤りです。
問題:注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
〇か×か。
答え:〇
不当に低い請負代金の禁止です(建設業法第19条の3)。原価を割る安値での契約を注文者に禁じ、請負人が適正な工事を行える代金を守ります。
出典・参考資料
※ 問題文は転載していません。条文は e-Gov 法令検索の建設業法で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月