令和7年度(2025年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.63は、工事現場に仮設の現場事務所を設置する場合の、建築基準法上の仮設建築物に対する制限の緩和に関する問題です。4つの記述のうち、制限の緩和が適用されないもの、つまり仮設建築物であっても守らなければならない規定を1つ選びます。緩和されるものを3つ含み、緩和されないものが1つだけ混じる形です。
現場事務所や下小屋、材料置場といった工事現場の仮設建築物は、使用期間が短く取り壊しが前提のため、建築基準法第85条第2項で多くの制限が適用除外になります。建築物の各部分の高さ、敷地の排水設備、道路に接する義務などは緩和され、守らなくてよくなります。ところが、そこで人が働く以上、健康や安全に直結する規定までは緩められません。選択肢⑷の居室の換気は緩和の対象に入っておらず、仮設の現場事務所でも換気に有効な開口部を確保しなければなりません。これが「緩和が適用されないもの」に当たります。
※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢4(制限の緩和が適用されないもの)
| 選択肢 | 仮設建築物での緩和 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 建築物の各部分の高さ(地域・地区や容積率の区分に応じた高さ以下) | 緩和される | 高さの制限は集団規定(法第3章)で、第85条第2項により適用されない |
| ⑵ 敷地の排水設備(雨水・汚水を処理する下水管・下水溝・ためます等) | 緩和される | 敷地の衛生と安全を定める第19条は、第85条第2項により適用されない |
| ⑶ 敷地が道路に接する義務(一定の長さ以上を道路に接する) | 緩和される | 接道義務(第43条)は集団規定で、第85条第2項により適用されない |
| ⑷ 居室の換気(換気に有効な開口部を床面積の20分の1以上) | 緩和されない(答え) | 換気を定める第28条は第85条第2項の適用除外の列挙に含まれず、仮設の現場事務所でも守る必要がある |
建築基準法第28条第2項は、居室に換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積を居室の床面積の20分の1以上とすることを求めています。一方、仮設建築物の緩和を定める第85条第2項は、適用しない規定を条番号で1つずつ並べていますが、その並びは第19条から第21条へ飛んでおり、第20条の構造耐力と第28条の換気はどちらも列挙に入っていません。現場事務所であっても居室の換気は緩和されず、換気に有効な開口部を床面積の20分の1以上確保しなければなりません。
高さ・排水・接道など、周囲との関係や敷地の整備に関わる制限は、短期間で撤去する仮設建築物には求められず緩和されます。これに対し、建物の中で人が過ごすうえで欠かせない構造耐力と居室の換気は、仮設であっても緩和されないという切り分けが、この問題の核心です。
| 規定 | 条 | 工事現場の仮設建築物 |
|---|---|---|
| 建築物の各部分の高さ | 法第3章(集団規定) | 緩和される |
| 敷地の排水設備・衛生 | 第19条 | 緩和される |
| 接道義務 | 第43条 | 緩和される |
| 構造耐力 | 第20条 | 緩和されない |
| 居室の換気 | 第28条 | 緩和されない |
問題:工事現場に設ける仮設の現場事務所では、居室の換気に関する建築基準法の規定は緩和され、適用されない。
〇か×か。
答え:×
居室の換気を定める第28条は、仮設建築物の緩和を定める第85条第2項の適用除外に含まれていません。仮設の現場事務所でも、換気に有効な開口部を床面積の20分の1以上確保する必要があります。
問題:工事現場に設ける仮設の現場事務所では、敷地が道路に接する義務(接道義務)は緩和される。
〇か×か。
答え:〇
接道義務(第43条)は集団規定に含まれ、第85条第2項により適用されません。短期間で撤去する仮設建築物には、道路との関係の制限は求められず緩和されます。
出典・参考資料
※ 問題文は転載していません。条文は e-Gov 法令検索の建築基準法で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月