ゼロから学ぶ土木施工管理

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令和5年度(前期)2級土木施工管理技士 No.11を解説、土留めの施工

令和5年度(2023年)2級土木施工管理技術検定 第一次検定(前期)No.11は、土留めの施工に関する⑴〜⑷の記述のうち、適当でないものを1つ選ぶ問題です。土留めの支保工形式と、掘削に伴う地盤の破壊現象(ヒービング・ボイリング・パイピング)の理解が問われます。

この問題のポイント

③のヒービングの説明が、実際はボイリングの説明になっています。ヒービングは軟弱な粘性土地盤で掘削底面が盛り上がる現象で、③がいう「砂質地盤で地下水位以下を掘削したときに砂が吹き上がる」のは砂質地盤のボイリングです。地盤の種類(粘性土か砂質か)と土の動き(盛り上がるか噴き上がるか)を入れ替えた引っかけです。

※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢3(最も不適当な記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
⑴ 自立式土留め工法は、支保工を必要としない工法である○(正しい)切ばりや腹起しを使わず、根入れ部の地盤抵抗で壁を自立させる(浅い掘削・良質地盤向け)
⑵ 切梁式土留め工法には、中間杭や火打ち梁を用いるものがある○(正しい)切ばりで土圧を支える形式。中間杭や火打ち梁を併用するものがある
⑶ ヒービングとは、砂質地盤で地下水位以下を掘削したときに、砂が吹き上がる現象である×(誤り)これはボイリングの説明。ヒービングは軟弱な粘性土地盤で掘削底面が盛り上がる現象
⑷ パイピングとは、砂質土の弱いところを通ってボイリングがパイプ状に生じる現象である○(正しい)砂質地盤の弱い箇所に水みちができ、ボイリングがパイプ状に進行する現象

選択肢3のポイント(ここが誤り)

ヒービングは、土留め壁の背面にある軟弱な粘性土の重さによって、壁の下を回り込むように内側の土が押し上げられ、掘削底面が盛り上がる現象です。地下水そのものが主役ではなく、やわらかい粘土質の地盤で起こります。

選択肢3は「砂質地盤で地下水位以下を掘削したときに、砂が吹き上がる」としていますが、これはボイリングの説明です。ボイリングは砂質地盤で、土留め壁の外側と内側の水位差による上向きの浸透流で、砂が地下水とともに噴き上がる現象です。地盤が粘性土か砂質か、そして底面が盛り上がるのか砂が噴き上がるのかを取り違えさせるのが、この問題の引っかけどころです。なお⑷のパイピングは、そのボイリングが砂質土の弱い箇所を通ってパイプ状の水みちとして進行する現象で、記述は適当です。

覚え方

  • ヒービング=粘性土で底面が盛り上がる/ボイリング=砂質土で砂が噴き上がる
  • パイピング=砂質土の弱い箇所を通ってボイリングがパイプ状に進む水みち
  • 自立式=支保工なし(浅い・良質地盤)/切梁式=切ばりで支持し中間杭・火打ち梁を併用する形式あり

理解度チェック

問題:ヒービングとは、砂質地盤で地下水位以下を掘削したときに、砂が吹き上がる現象である。

〇か×か。

答え:×

これはボイリングの説明です。ヒービングは軟弱な粘性土地盤で、掘削底面が盛り上がる現象です。

問題:自立式土留め工法は、支保工を必要としない工法である。

〇か×か。

答え:

自立式は、切ばりや腹起しなどの支保工を使わず、壁の根入れ部の地盤抵抗で自立させる工法です。浅い掘削で良質な地盤に用います。

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出典・参考資料

  • 一般財団法人 全国建設研修センター「令和5年度 2級土木施工管理技術検定 第一次検定(前期・種別:土木) 問題」
  • 掘削に伴う地盤の破壊現象(ヒービング=軟弱な粘性土地盤で掘削底面が盛り上がる/ボイリング=砂質地盤で水位差の浸透流により砂が噴き上がる/パイピング=砂質土の弱い箇所を通りボイリングがパイプ状の水みちとして進行)

※ 問題文は転載していません。土留めの設計・施工は、最新の道路土工-仮設構造物工指針等で確認してください。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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