編集部
吹付けコンクリートは「早く固まる」のが大事?「長持ち」が大事?トンネルでは、掘った直後の地山を早く安定させるため初期強度が重要です。ここが問われます。
この記事の要点
山岳工法(NATM)は、地山そのものを支保部材として活かす考え方です。
吹付けコンクリート・ロックボルト・鋼製支保工で支えます。過去問での問われ方も押さえます。
トンネルの山岳工法は、地山を掘り進めながら支保工で支える工法です。代表がNATMで、支保工の役割が試験でよく問われます。
山岳工法(NATM)は、地山そのものを支保部材として活かし、吹付けコンクリート・ロックボルト・鋼製支保工で支える工法です。
NATMは、掘削した地山がもつ力を活かし、地山と一体となって支える考え方です。掘削後すぐに吹付けコンクリートやロックボルトで地山の緩みを抑え、地山が崩れないようにします。
吹付けコンクリートは、掘削した地山の面に吹き付けて、凹凸を埋めて密着させ、地山の緩みを抑えます。掘った直後の地山を早く安定させるため、長期強度よりも初期(早期)強度が重要です。
ロックボルトは、地山に差し込んで地山どうしを一体化し、補強する部材です。原則として掘削面(壁面)に直角に設けます。斜めに設けるのではありません。十分な定着力が得られるよう、引抜き試験を行って定着方式やボルトの種類を選びます。
鋼製支保工は、一次吹付けコンクリートの後に、地山や吹付け面にできる限り密着して建て込みます。すき間は吹付けコンクリートなどで充填し、荷重が支保工に円滑に伝わるようにします。建込みでは、覆工の所要の巻厚を確保するため、あらかじめ上げ越し・広げ越しを見込んでおきます。さらに内側には、仕上げとして覆工コンクリートを施します。覆工コンクリートの打込みは、一般のコンクリート工事と同じ要領で締め固めます。
混同しやすい用語
吹付けコンクリート と ロックボルト
どちらも山岳工法の支保工ですが、効かせ方が違います。吹付けコンクリートは、地山の表面に吹き付けて面で覆い、緩みを抑えます。ロックボルトは、地山の内部に差し込んで、地山どうしを一体化して補強します。表面を覆うのが吹付けコンクリート、内部を縫いとめるのがロックボルト、と整理できます。
山岳工法は、支保工(吹付けコンクリート・ロックボルト・鋼製支保工)の役割や施工が正誤判定で問われます。
| 年度・級(No.) | 問われ方 | 引っかけ(正誤の分かれ目) |
|---|---|---|
| 令和7年・2級前期(No.29) | 山岳工法の施工 | ロックボルトを「掘削面に斜めに」は誤り(直角が原則)。鋼アーチ支保工を「一次吹付けの前に建込む」は誤り(後・正答?) |
| 平成28年・1級(No.36) | 支保工の施工 | 鋼製支保工を「上げ越し・広げ越しをせずに行う」は誤り(巻厚確保のため行う・正答?) |
| 平成25年・1級(No.35) | 支保工の施工 | 吹付けコンクリートで「初期強度よりも長期強度が重要」は誤り(初期強度が重要・正答?) |
年度をまたいで問われる核心は吹付けコンクリートの強度です。吹付けコンクリートは、掘削直後の地山を早く安定させるため初期(早期)強度が重要で、「長期強度が重要」とするのは誤りです。ロックボルトは掘削面に直角、鋼製支保工は一次吹付けの後に上げ越し・広げ越しを見込んで建て込む点もくり返し問われます。
問題:トンネルの吹付けコンクリートは、長期強度よりも初期(早期)強度が重要である。
〇か×か。
答え:〇
掘削直後の地山を早く安定させる必要があるため、吹付けコンクリートは初期強度が重要です。
問題:鋼製支保工は、地山や一次吹付けコンクリート面にできる限り密着して建て込み、すき間を吹付けコンクリートで充填する。
〇か×か。
答え:〇
鋼製支保工は密着して建て込み、すき間を充填して、荷重が円滑に伝わるようにします。
問題:ロックボルトは、地山の表面を覆うことで緩みを抑える部材である。
〇か×か。
答え:×
表面を覆うのは吹付けコンクリートです。ロックボルトは地山の内部に差し込み、地山どうしを一体化して補強します。
問題:ロックボルトは、原則として掘削面に対して斜めに設ける。
〇か×か。
答え:×
ロックボルトは、原則として掘削面(壁面)に直角に設けます。令和7年度の2級でも、向きの取り違えが問われました。
トンネルの山岳工法(NATM)は、地山を支保部材として活かす工法です。吹付けコンクリート(初期強度が重要)・ロックボルト・鋼製支保工で地山を支えます。
過去問では、吹付けコンクリートの初期強度、ロックボルトは掘削面に直角、鋼製支保工は上げ越し・広げ越しを行うことが問われます。
掘削の進め方はトンネルの掘削工法、地山を見る目はトンネルの観察・計測もあわせて確認すると、トンネル工事の全体像がつながります。
参考資料
※ 工法・支保工は標準的な内容です。基準の改定や現場条件で変わるため、最新の資料で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年6月