ゼロから学ぶ土木施工管理

ゼロから学ぶ土木施工管理
  1. HOME > 過去問解説 > 令和5年度(1級) > No.3 TS・GNSSを用いた盛土の情報化施工

令和5年度 1級土木施工管理技士 No.3を解説、TS・GNSSを用いた盛土の情報化施工

令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.3は、TS・GNSSを用いた盛土の情報化施工について適当でないものを選ぶ問題です。締固め管理システムの機能、座標既知点での確認、まき出し厚さの決め方、現場密度試験が並びます。

この問題のポイント

誤りは、現場密度試験を無条件で課している点にあります。この技術は締固め回数を面的に管理する工法規定方式で、規定どおりに施工されていること自体が品質の裏づけになります。⑷は盛土材料の品質もまき出し厚も締固め回数も規定どおりである場合まで含めて「必ず実施する」としており、そこが行きすぎです。

※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢4(最も不適当な記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
⑴ 締固め管理システムは、締固め判定・表示機能や施工範囲の分割機能等を有するものとし、選定段階でカタログ等により確認する○(正しい)使う前に機能の有無を確かめる
⑵ 現場内の工事基準点等の座標既知点を複数箇所で観測し、既知座標と計測座標が合致していることを確認する○(正しい)座標がずれていれば管理そのものが狂う
⑶ まき出し厚さは、まき出し完了時から締固め完了までに仕上り面の高さが下がる量を試験施工で確認し、これを基に決定する○(正しい)沈下量を見込んで厚さを決める
⑷ 現場密度試験は、材料の品質・まき出し厚・締固め回数がいずれも規定どおりの場合においても、必ず実施する×(誤り)規定どおりの施工を面的に管理していれば、無条件に必ず実施するものではない

選択肢4のポイント(ここが誤り)

盛土の締固め管理には2つの考え方があります。品質規定方式は締め固めた土の密度や含水比を点で測って品質を確かめるもので、現場密度試験はこちらの手段です。工法規定方式は、事前の試験施工でまき出し厚と締固め回数を決め、そのとおりに施工されたかで管理します。TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理は工法規定方式で、締固め回数を盛土の全面にわたって管理します

点で測る現場密度試験に対し、面で管理するこの方式は、測っていない場所が残らないという強みがあります。だからこそ、材料の品質・まき出し厚・締固め回数がいずれも規定どおりであることを面的に確認できているなら、そのうえでさらに現場密度試験を必ず行うという組み立てにはなりません。⑷は「いずれも規定通りとなっている場合においても」とわざわざ条件を置いたうえで「必ず」と結んでおり、この言い切りが誤りです。

⑴はシステムに求める機能を導入前に確認するという内容で、締固め判定・表示や施工範囲の分割ができないシステムでは面的管理が成立しません。⑵は座標の照合で、基準となる座標がずれていれば締固め位置の記録すべてがずれます。⑶のまき出し厚さは、締め固めると仕上り面が下がるため、その下がり量を試験施工で確かめて決めます。したがって適当でないものは選択肢4です。

覚え方

  • TS・GNSSの締固め管理は工法規定方式。締固め回数を面で管理する
  • 現場密度試験は点で測る品質規定方式の手段
  • 「〜の場合においても、必ず」と条件を消す言い切りは誤りを疑う

理解度チェック

問題:TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理は、締固め回数を面的に管理する工法規定方式である。

〇か×か。

答え:

密度や含水比を点で測る品質規定方式ではありません。

問題:TS・GNSSを施工管理に用いるときは、現場内の座標既知点を複数箇所で観測し、既知座標と計測座標が合致していることを確認する。

〇か×か。

答え:

基準の座標がずれると、記録した締固め位置がすべてずれます。

令和5年度 1級土木施工管理技士 第一次検定 過去問解説 一覧へ

出典・参考資料

  • 一般財団法人 全国建設研修センター「令和5年度 1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A・種別:土木) 問題」
  • 方式の分類(品質規定方式=「盛土の締固め密度や含水比を点的に測定する」/「情報通信技術(ICT)を用いた盛土の情報化施工(TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理)は、工法規定方式に分類されます」/「盛土全面の品質を締固め回数で面的管理」):品質管理(盛土)|ソイルアンドロックエンジニアリング

※ 国土交通省「TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理要領」はPDFのため、本記事では要領の条項・細目には踏み込んでいません。問題文と選択肢も転載していません。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

過去問解説

よく学ばれる分野

このサイトについて

Topへ >>

  1. HOME > 過去問解説 > 令和5年度(1級) > No.3 TS・GNSSを用いた盛土の情報化施工