令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.4は、道路土工の地下排水工について適当でないものを選ぶ問題です。しゃ断排水層、水平排水層、基盤排水層、地下排水溝という4種類の役割が並びます。
誤りは、しゃ断排水層の目的にあります。この層は名前に排水と付きますが、役割は路床土が地下水とともに路盤へ入り込んで路盤を軟弱にするのを防ぐことで、浸透水を流し出すためのものではありません。材料も透水性の極めて高い荒目の砂利ではなく、シルト分の少ない砂やクラッシャーランを用います。
※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢1(最も不適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ しゃ断排水層は、降雨による盛土内の浸透水を排水するため、路盤よりも下方に透水性の極めて高い荒目の砂利・砕石を用いる | ×(誤り) | 目的は排水でなく、路床土と地下水が路盤へ入るのを防ぐ遮断。材料もシルト分の少ない砂等 |
| ⑵ 水平排水層は、盛土内部の間隙水圧を低下させて安定性を高めるため、透水性の良い材料で適切な排水勾配と層厚を確保する | ○(正しい) | 盛土の中の水を抜いて安定させる |
| ⑶ 基盤排水層は、地山から盛土への水の浸透を防ぐため、地山の表面に透水性が高くせん断強さの大きい材料を適切な厚さで施工する | ○(正しい) | 盛土と地山の境で水を処理する |
| ⑷ 地下排水溝は、盛土内に浸透する地下水や地表面近くの浸透水を排水するため、沢部を埋めた盛土では旧沢地形に沿って施工する | ○(正しい) | 水の集まる旧地形に沿わせる |
しゃ断排水層は、道路の用語集では遮断層とも呼ばれ、路盤の下に置かれる砂層です。目的は路床土が地下水と共に路盤に浸入して、路盤を軟弱化するのを防ぐことで、材料にはシルト分の少ない砂やクラッシャーラン等を用い、厚さ15〜30cm程度で設けます。舗装厚には含めず、路床の一部として扱います。
つまりこの層は、上へ入ってこようとする水と土を止める仕切りです。透水性の極めて高い荒目の砂利や砕石を使うと、止めるどころか水と細粒分の通り道になってしまいます。⑴は目的を排水と書き、材料も逆の性質のものを挙げているため、二重に誤っています。名前に排水と付く用語でも、役割が排水とは限らない点がこの問題の核心です。
⑵の水平排水層は盛土の中に水平に敷く層で、盛土内部にたまる水を抜いて間隙水圧を下げ、安定性を高めます。⑶の基盤排水層は盛土と地山の境に設け、地山から盛土へ水が入るのを処理します。⑷の地下排水溝は、沢部を埋めた盛土では水が集まる旧沢地形に沿わせて設けるのが定石です。したがって適当でないものは選択肢1です。
問題:しゃ断排水層は、降雨による盛土内の浸透水を排水するために、透水性の極めて高い荒目の砂利や砕石を用いて設ける。
〇か×か。
答え:×
路床土が地下水とともに路盤へ入るのを防ぐ層で、シルト分の少ない砂等を用います。
問題:沢部を埋めた盛土では、地下排水溝を旧沢地形に沿って施工する。
〇か×か。
答え:〇
水は旧地形の低い筋に集まるため、そこに沿わせて抜きます。
出典・参考資料
※ 日本道路協会「道路土工 排水工指針」は市販図書のため、本記事では指針の条項・数値には踏み込んでいません。問題文と選択肢も転載していません。
※ この記事の確認日:2026年7月