令和5年度(2023年)2級土木施工管理技術検定 第一次検定(後期)No.17は、砂防えん堤に関する⑴〜⑷の記述のうち、最も適当なものを1つ選ぶ問題です。
各部の設置位置と形状を、それらしい説明にすり替えてくる出題です。前庭保護工を上流側とする⑵、袖を水平とする⑶、水抜きの役割を水通しに付け替えた⑴が誤りで、基礎を強固な岩盤に施工する⑷だけが正しい記述です。前庭保護工は本えん堤下流の洗掘防止、袖は越流水を両岸へ向かわせない上り勾配、というえん堤各部の向きと形をそのまま覚えているかが分かれ目になります。
※ 問題文そのものは、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢4(最も適当な記述)
| 記述 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 水通しは、施工中の流水の切換えや堆砂後の本えん堤にかかる水圧を軽減させるために設ける | ×(誤り) | 流水の切換え・堆砂後の水圧軽減は水抜きの役割。水通しは洪水・土砂を安全に越流させる放水路 |
| ⑵ 前庭保護工は、本えん堤の洗掘防止のために、本えん堤の上流側に設ける | ×(誤り) | 前庭保護工は本えん堤の下流側に設ける(越流した落下水が洗掘するのは下流の前庭部) |
| ⑶ 袖は、洪水が越流した場合でも袖部等の破壊防止のため、両岸に向かって水平な構造とする | ×(誤り) | 袖は両岸に向かって上り勾配とする(水平ではない)。越流水を中央の水通しへ集める |
| ⑷ 砂防えん堤は、安全性の面から強固な岩盤に施工することが望ましい | ○(正しい) | 基礎地盤は原則として岩盤とし、滑動・転倒に対する安全性を確保する |
⑴は、施工中の流水を切り換えたり、堆砂後の浸透水を抜いて堤体にかかる水圧を減らしたりするのは水抜き(水抜き暗渠)の役割です。⑴は水抜きの機能を水通しにすり替えており、水通しは本来、上流からの洪水と土砂を安全に越流させる放水路です。原則として逆台形の断面とします。
⑵は、本えん堤を越流した水は下流側に落下して河床を掘るため、前庭保護工は本えん堤の下流側に設けて洗掘を防ぎます。⑵は前庭保護工を上流側としており、上下流の向きが逆です。前庭保護工は水叩き・副えん堤・側壁護岸などで構成されます。
⑶は、万一の越流でも流水を両岸に向かわせず中央の水通しへ集めるため、袖は両岸に向かって上り勾配とします。⑶は袖を水平としており、上り勾配であるべき点が誤りです。水平だと越流水が袖側へ流れて袖部を破壊するおそれがあります。これに対し⑷は、基礎地盤を原則として岩盤とし、外力に対する滑動・転倒の安全性を確保するという正しい記述です。
問題:前庭保護工は、本えん堤の洗掘防止のために、本えん堤の上流側に設ける。
〇か×か。
答え:×
前庭保護工は本えん堤の下流側に設けます。越流した落下水が河床を洗掘するのは下流側で、水叩き・副えん堤・側壁護岸などで前庭部を保護します。
問題:砂防えん堤の袖は、洪水が越流した場合でも袖部の破壊を防ぐため、両岸に向かって水平な構造とする。
〇か×か。
答え:×
袖は両岸に向かって上り勾配とします。越流水を中央の水通しへ集め、袖部へ流れないようにするためで、水平にはしません。
出典・参考資料
※ 問題文は転載していません。砂防えん堤の各部の機能・形状は、最新の河川砂防技術基準等で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月
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