編集部
橋の手前で車がガタンと揺れること、ありませんか?あれは橋台の裏込めが沈んでできた段差です。裏込め・埋戻しは、この段差を防ぐ大事な施工です。
この記事の要点
裏込め・埋戻しは、橋台やカルバートなどの構造物の背面に土を入れる施工です。段差や沈下を防ぐことが目的です。
透水性がよく圧縮性の小さい良質な材料を、小型機械で薄く締め固めます。過去問での問われ方も押さえます。
構造物と盛土の境目は、性質が違うために沈下の差が出やすく、段差ができやすい場所です。これを防ぐのが裏込め・埋戻しの施工です。
裏込め・埋戻しは、橋台やカルバートなどの構造物の背面に土を入れる施工で、段差や沈下を防ぐことが目的です。
構造物はほとんど沈まないのに対し、背面の盛土は時間とともに沈下します。この差が大きいと、境目に段差ができてしまいます。裏込め・埋戻しは、良質な材料をていねいに締め固めて、この不同沈下と段差を抑えます。
裏込め・埋戻しの材料は、細粒分の少ない粗粒土を基本とします。求められる性質は次のとおりです。
逆に、細粒分が多く塑性指数が大きい(水を含むと変形しやすい)土は、裏込め材には向きません。段差を防ぐためとして「圧縮性の大きい材料」を用いるとする記述は誤りで、圧縮性の小さい材料が適切です。
構造物の近くは大型機械が入りにくいので、土を薄く敷き均し、タンパやランマ、小型の振動ローラなどでていねいに締め固めます。構造物に偏った土圧をかけないよう、左右をバランスよく仕上げます。
裏込め部は雨水がたまりやすいので、工事中は雨水の流入を極力防ぎ、浸透水に対しては地下排水溝を設けて排水します。
混同しやすい用語
裏込め と 埋戻し
セットで使われますが、指す場所が少し違います。裏込めは、橋台や擁壁の背面など、構造物に接する特に重要な部分に良質な土を入れることをいいます。埋戻しは、掘削した部分をふたたび土で埋めもどすこと全般を指します。構造物の背面の大事な部分が裏込め、掘った穴を戻すのが埋戻し、と整理できます。どちらも良質な材料をていねいに締め固める点は共通です。
裏込め・埋戻しは、1級・2級ともに、材料の性質(透水係数・圧縮性)と排水の方法が正誤判定で問われます。
| 年度・級(No.) | 問われ方 | 引っかけ(正誤の分かれ目) |
|---|---|---|
| 令和8年・2級前期(No.8) | 構造物裏込め部の施工 | 裏込め部は雨水の流入を防ぎ、浸透水は地下排水溝で処理する(正答?) |
| 令和7年・2級前期(No.8) | 構造物裏込め部の施工 | 同じく雨水流入防止+地下排水溝(排水の方法が続けて問われた・正答?) |
| 令和6年・1級(No.9) | 建設発生土の埋戻し利用 | 段差防止に「圧縮性の大きい材料」は誤り(圧縮性の小さい材料が正・正答?) |
| 平成22年・1級(No.4) | カルバート周辺の埋戻し | 「透水係数の小さい材料」は誤り(透水性のよい粗粒土・正答?) |
年度をまたいで問われる核心は材料の性質です。裏込め材は、透水性がよく(透水係数が大きい)圧縮性の小さい粗粒土を用いるのがポイントです。「透水係数の小さい材料・圧縮性の大きい材料」は誤りになります。裏込め部の浸透水は地下排水溝で処理する点もくり返し問われます。
問題:裏込め・埋戻しの材料は、細粒分の少ない粗粒土を基本とし、透水性がよく圧縮性の小さいものを用いる。
〇か×か。
答え:〇
裏込め材は、水はけがよく(透水性がよい)、荷重で沈下しにくい(圧縮性が小さい)粗粒土が適しています。
問題:裏込め部の浸透水に対しては、地下排水溝を設けて排水する。
〇か×か。
答え:〇
裏込め部は水がたまりやすいので、工事中は雨水の流入を防ぎ、浸透水には地下排水溝を設けて排水します。
問題:構造物の近くの裏込めは、大型機械で一度に厚く締め固めるのがよい。
〇か×か。
答え:×
構造物の近くは大型機械が入りにくいため、薄く敷き均して、タンパやランマ、小型の振動ローラなどでていねいに締め固めます。
問題:段差を防ぐため、埋戻し材には圧縮性の大きい材料を用いる。
〇か×か。
答え:×
圧縮性の大きい材料は荷重で沈下しやすく、段差の原因になります。圧縮性の小さい材料が適切です。令和6年度の1級でも、この点が問われました。
裏込め・埋戻しは、構造物の背面に土を入れて、段差や沈下を防ぐ施工です。透水性がよく圧縮性の小さい粗粒土を、小型機械で薄く締め固めるのが基本です。
過去問では、透水係数の小さい材料や圧縮性の大きい材料は誤りとされ、浸透水は地下排水溝で処理することが問われます。
背面の盛土の施工とあわせて確認すると、構造物と盛土の境目の段差を防ぐ流れがつながります。
参考資料
※ 材料・施工方法は標準的な内容です。基準の改定や現場条件で変わるため、最新の資料で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年6月