ゼロから学ぶ土木施工管理

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令和5年度 1級土木施工管理技士 問題B No.35を解説、プレキャスト部材の接合

令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題B)No.35は、プレキャストコンクリート構造物の施工における部材の接合についての①〜④のうち、適当なもののみを全てあげている組合せを選ぶ問題です。

接合面の密着とダクトの一致、接着剤の塗り方、接着剤の安全対策、接合材料を打ち込む前の接合面の状態という4つが並びます。

この問題のポイント

適当なのは①と③で、正解は⑵です。②は接着剤をダクトの中まで流し込むとしている点、④は接合面を乾燥状態にするとしている点が誤りです。

接合面は湿潤状態にしてからモルタルやコンクリートを打ち込みます。乾いた面に打つと、打ち込んだ材料の水分が吸い取られて接合部が弱くなります。

※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。

正解:⑵(①③)

①〜④の正誤

記述正誤解説
① 接合面の密着性を確保するとともに、接合部の断面やダクトを正確に一致させておく○(適当)ダクトがずれるとPC鋼材を通せなくなる
② ダクトの接合部に塗布する接着剤は、十分な量をダクト内に流入させる×(誤り)接着剤をダクト内に流入させない。中はPC鋼材を通す空間で、ふさぐと通せない
③ 接着剤の取扱いは、製品安全シート(SDS)に従った安全対策を講じる○(適当)化学物質を扱うので、SDSの記載に従う
④ モルタルやコンクリートを接合材料に用いる場合、打ち込む前に接合面を乾燥状態にしておく×(誤り)正しくは十分に湿潤状態。乾いた面は打ち込んだ材料の水分を吸う

②④のポイント(ここが誤り)

②のダクトは、PC鋼材を通すための管です。接合部で塗る接着剤は、部材どうしが密着するように接合面へ塗るもので、ダクトの中に入れるものではありません。中に流れ込むと、PC鋼材を通せなくなったり、あとから注入するグラウトが行き渡らなくなったりします。①が「ダクトを正確に一致させる」としているのも、通り道を確保するためです。②と①は同じダクトの話で、向きが逆になっています。

④は接合面の状態です。モルタルやコンクリートを打ち込む前の接合面は、乾燥状態ではなく十分に湿潤状態にします。乾いたコンクリート面に打ち込むと、新しく打った材料の水分が古いコンクリートに吸い取られ、接合部の強度が出ません。同じ理由で、吸水するおそれのある型枠も打込み前に湿らせます。乾かすか湿らせるかで迷ったら、水を吸われて困る側があるかどうかで判断します。

③の製品安全シート(SDS)は、化学物質の危険性や取扱い方法を記した文書です。接着剤は有機溶剤を含むものがあるので、SDSに従って換気や保護具などの対策をとります。

この記述は平成29年度にも出ている

④とほぼ同じ文が、平成29年度の同じ枠でも誤りの記述として使われています。そのときも「十分乾燥状態にしておく必要がある」と書かれていて、正しくは湿潤状態でした。①も平成29年度に適当な記述として出ています。

記述令和5年度 B No.35平成29年度
接合面の密着とダクトの一致①(適当)適当な記述として出題
接合面を乾燥状態にする④(誤り)誤りの記述として出題

誤りの記述がそのまま何年かあとに再び使われるので、過去問は正しい記述だけでなく、誤りの記述と直し方も覚えておくと効きます。

覚え方

  • 接合面は湿潤状態にしてから打ち込む。接着剤はダクト内に流入させない
  • 接合部の断面とダクトは正確に一致させる(PC鋼材の通り道を確保する)
  • 接着剤の取扱いは製品安全シート(SDS)に従う
  • 吸水するおそれのある面(接合面・型枠)は、打込み前に湿らせる

理解度チェック

問題:モルタルやコンクリートを接合材料として用いる場合は、打ち込む前に接合面のコンクリートを乾燥状態にしておく。

〇か×か。

答え:×

十分に湿潤状態にします。乾いた面は打ち込んだ材料の水分を吸い取ります。

問題:ダクトの接合部に塗布する接着剤は、十分な量をダクト内に流入させる。

〇か×か。

答え:×

ダクトはPC鋼材を通す管なので、接着剤を中に流入させません。

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出典・参考資料

  • 一般財団法人 全国建設研修センター「令和5年度 1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題B・種別:土木) 問題」
  • 正答と選択肢の構成:1級土木施工管理技士の過去問 令和5年度 問96(問題B 問35)
  • 接合面を湿潤状態にする点:同 平成29年度 問92(「モルタルやコンクリートを接合材料として用いる場合は、これらを打ち込む前に、接合面のコンクリートを十分乾燥状態にしておく必要がある」が適当でない記述として出題。正しくは十分湿潤状態)
  • 吸水する面を湿らせる考え方:当サイト 令和6年度(前期)2級 No.13(コンクリート標準示方書=吸水するおそれのある型枠はあらかじめ湿らせる)

※ 問題文と①〜④の記述は転載していません。プレストレストコンクリートの設計指針類はこの環境で読み取れなかったため、接着剤やグラウトの数値・条項には踏み込んでいません。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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