令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.26は、急傾斜地崩壊防止工について、適当なものを選ぶ問題です。
コンクリート張り工、もたれ式コンクリート擁壁工、切土工、重力式コンクリート擁壁工という4つの工法が並びます。適当なものが1つで、残る3つは役割か設置のしかたが書き替えられています。
工法ごとに「土に抵抗する構造なのか、表面を覆うだけなのか」を分けて考えます。コンクリート張り工は斜面の風化や侵食を防ぐ被覆で、崩壊土圧に抵抗する構造ではありません。
もたれ式コンクリート擁壁は、名前のとおり斜面(地山)にもたれかからせて接して設置します。選択肢2は斜面脚部から離して設置と書いており、位置関係が逆です。
※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢4(最も適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ コンクリート張り工は、斜面の風化・侵食及び崩壊等の防止を目的とし、比較的勾配の急な斜面に用いられ、設計においては土圧を考慮する必要がある | ×(誤り) | 張り工はのり面の風化・侵食や軽微な剥離・崩壊の防止が目的で、崩壊土圧に抵抗させる構造ではない |
| ⑵ もたれ式コンクリート擁壁工は、斜面崩壊を直接抑止することが困難な場合に、斜面脚部から離して擁壁を設置する工法である | ×(誤り) | 位置が逆。地山にもたれかかるように接して設置する |
| ⑶ 切土工は、斜面勾配の緩和や不安定な土塊・岩石の除去を行うもので、切土した斜面の高さにかかわらず小段の設置を必要としない工法である | ×(誤り) | 切土高が大きい場合は一定の高さごとに小段を設け、排水にも配慮する |
| ⑷ 重力式コンクリート擁壁工は、小規模な斜面崩壊を直接抑止するほか、押え盛土の安定、法面保護工の基礎等として用いられ、排水に対して特に留意する必要がある | ○(正しい) | 自重で抑える構造。背面の水を抜くことが前提になる |
コンクリート張り工は、のり面を覆って風化・侵食と軽微な剥離や崩壊を防ぐ工法です。斜面の崩壊を押さえ込む力を期待する場合はロックボルトやグラウンドアンカー工と併用し、そのときに初めて張り工に応力が働くので構造計算を行います。単独の張り工に崩壊土圧を受け持たせる前提が誤りです。
もたれ式コンクリート擁壁は、斜面に沿ってもたれかかる形で据え、背面の地山に支えられて自立します。斜面から離して置くのは重力式などの独立した擁壁で、もたれ式はこの点が逆になっています。
切土工は斜面勾配を緩め、不安定な土塊や岩石を取り除く工法です。切土高が大きくなれば、のり面の安定と維持管理、排水のために一定の高さごとに小段を設けます。「高さにかかわらず小段を必要としない」という言い切りが誤りです。
⑷の重力式コンクリート擁壁工は、自重で小規模な崩壊を直接抑止し、押え盛土の安定や法面保護工の基礎としても使われます。背面に水がたまると土圧が増すため、排水への配慮が要点になります。したがって適当なものは選択肢4です。
問題:もたれ式コンクリート擁壁工は、斜面脚部から離して擁壁を設置する工法である。
〇か×か。
答え:×
地山にもたれかかるように接して設置します。
問題:コンクリート張り工は、斜面の風化や侵食を防ぐことを目的とする工法である。
〇か×か。
答え:〇
のり面の風化・侵食や軽微な剥離・崩壊の防止が目的で、崩壊土圧を受け持つ構造ではありません。
出典・参考資料
※ 各県の急傾斜地崩壊技術基準や「がけ崩れ対策設計要領」はPDFのため、本記事では小段の幅や間隔といった数値には踏み込んでいません。問題文と選択肢も転載していません。
※ この記事の確認日:2026年7月
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