令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.50は、労働者に支払う賃金について、労働基準法令上誤っているものを選ぶ問題です。No.50からNo.61までの12問から8問を選ぶ、法規の選択問題の先頭にあたります。
労働契約の不履行に関する定め、非常時の支払、出来高払制の保障給、労働契約締結時の明示という4つが並びます。
禁止規定が義務規定に反転しています。労働基準法は労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならないと定めています(賠償予定の禁止)。
選択肢1はこれを「定め、又は明示して契約しなければならない」と、してはならないことを義務のように書いています。
※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢1(労働基準法令上、誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を明示して契約しなければならない | ×(誤り) | 禁止と義務が逆。違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない |
| ⑵ 労働者が出産、疾病、災害など非常の場合の費用に充てるために請求する場合は、支払期日前であっても既往の労働に対する賃金を支払わなければならない | ○(正しい) | 非常時は期日前でも働いた分を払う |
| ⑶ 出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない | ○(正しい) | 出来高が少ない月も最低限を保障する |
| ⑷ 労働契約の締結に際し、賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項を明示しなければならない | ○(正しい) | 賃金の条件は契約時に示す |
労働基準法は、労働者が辞めるときや失敗をしたときに備えてあらかじめ違約金や賠償額を決めておくことを禁じています。金額を先に決めておくと、労働者が辞められなくなったり、実際の損害と関係なく支払わされたりするからです。
禁止されているのはあらかじめ額を予定することで、実際に生じた損害について請求すること自体が禁止されているわけではありません。選択肢1はこの禁止規定を、金額を明示して契約する義務があるかのように書き替えています。
法規の問題では、条文が「してはならない」なのか「しなければならない」なのかで正誤が決まります。選択肢の末尾だけを読み替える出題は頻繁に出るため、禁止・義務・許容のどれかを毎回確かめます。
⑵は非常時払で、支払期日前でも既に働いた分の賃金を支払います。⑶は出来高払制の保障給、⑷は労働契約締結時に明示する事項です。したがって誤っているものは選択肢1です。
問題:使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を明示して契約しなければならない。
〇か×か。
答え:×
逆です。違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならないと定められています。
問題:出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
〇か×か。
答え:〇
出来高が少ないときでも、働いた時間に応じた保障給が必要です。
出典・参考資料
※ 条文番号は本文に出していません(設問が条番号を問う形式ではないため)。問題文と選択肢も転載していません。
※ この記事の確認日:2026年7月