編集部
コンクリートの劣化は、原因ごとに対策が違うのを知っていますか?過去問は、この劣化機構と原因・対策の組み合わせを入れ替えて誤りの選択肢をつくります。年度別の問われ方を見ておきましょう。
この記事の要点
コンクリートの劣化には、中性化・塩害・アルカリ骨材反応・凍害などがあります。
原因も対策も機構ごとに違い、過去問は組み合わせのすり替えで誤りをつくります。年度別の問われ方を押さえます。
コンクリートは、時間とともにさまざまな原因で劣化します。代表的な4つの劣化と、その原因・対策、そして過去問での問われ方を年度別に押さえます。
コンクリートの劣化は中性化・塩害・アルカリ骨材反応・凍害などに分かれ、原因も対策も機構ごとに異なります。
中性化は、空気中の二酸化炭素がコンクリートに入り込み、アルカリ性が失われていく現象です。鉄筋を守るアルカリ性が低下すると鉄筋が錆び、膨張してかぶりを押し割ります。中性化の進行は、一般に供用期間の平方根に比例すると考えます。
塩害は、塩化物イオンによって鉄筋が腐食する劣化です。海岸地域や凍結防止剤を使う環境で起こりやすくなります。
アルカリ骨材反応(アルカリシリカ反応、ASR)は、セメント中のアルカリと反応性のある骨材が反応し、生じたゲルが吸水・膨張してひび割れを起こす現象です。
凍害は、コンクリート中の水分が凍結と融解をくり返すことで、表面がはがれたり(スケーリング)、ひび割れたりする劣化です。
劣化は原因が違うため、対策も異なります。代表的な対策は次のとおりです。
| 劣化 | おもな原因 | おもな対策 |
|---|---|---|
| 中性化 | 二酸化炭素 | かぶりを大きく・水セメント比を小さく |
| 塩害 | 塩化物イオン | かぶりを大きく・塩化物イオン総量を0.30kg/m3以下に |
| アルカリ骨材反応 | 反応性骨材とアルカリ | 反応性骨材を避ける・低アルカリ形や混合セメント・アルカリ総量を3.0kg/m3以下に |
| 凍害 | 水分の凍結融解 | AEコンクリート・水セメント比を小さく |
水セメント比を小さくすると、コンクリートが緻密になり、中性化・塩害・凍害には効果があります。しかし、アルカリ骨材反応には効きません。反応性骨材を避ける、低アルカリ形や混合セメントを使う、アルカリ総量を抑える、といった別の対策が必要です。
混同しやすい用語
中性化 と 塩害
どちらも鉄筋の腐食につながりますが、原因が違います。中性化は、二酸化炭素でコンクリートのアルカリ性が失われ、鉄筋を守る力が弱まって錆びる劣化です。塩害は、塩化物イオンが直接鉄筋に達して錆びさせる劣化です。アルカリ性の低下が中性化、塩分が原因なのが塩害、と分けて覚えます。
コンクリートの劣化は、平成26年度から令和8年度まで、2級・1級でほぼ毎年問われています。引っかけは大きく3つの型です。
| 年度・級・No. | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和8年度 2級 No.19 | アルカリシリカ反応の対策に「通常の早強ポルトランドセメント」を使う、は誤り(低アルカリ形セメントや混合セメントを使う)←対策の取り違え |
| 令和7年度 2級 No.19 | 劣化機構と原因の組合せ。「化学的侵食=二酸化炭素」は誤り(二酸化炭素は中性化の原因。化学的侵食は酸・硫酸塩)←機構と原因の取り違え |
| 令和6年度 1級 No.25 | 中性化深さを「供用年数の二乗に比例」とするのは誤り(平方根に比例=√t則)←法則のすり替え |
| 令和6年度 2級 No.19 | 「劣化機構に該当しないもの」を選ぶ。コールドジョイントは施工不良で劣化機構でない(アルカリシリカ反応・凍害・疲労は劣化機構) |
| 令和5年度 2級 No.14 | 劣化対策の組合せ。凍害対策=AE減水剤が正、「塩害対策で水セメント比を大きくする」は誤り(小さくが正) |
| 令和4年度 2級 No.14 | 劣化機構の定義。「塩害=硫酸・硫酸塩で分解・溶解」は誤り(それは化学的侵食。塩害は塩化物イオンによる鉄筋腐食) |
| 令和3年度 2級 No.14 | 劣化機構の説明。「化学的侵食=凍結融解で溶解」は誤り(それは凍害)←機構と原因の取り違え |
| 令和元年度 2級(第二次) No.9 | 記述式。塩害・凍害・アルカリシリカ反応から1つ選び、施工時の劣化防止対策を書かせる |
| 平成26年度 2級 No.14 | 劣化対策。「塩害対策に水セメント比が大きいコンクリート」は誤り(小さくして緻密に) |
3つの型のうち、いちばん多いのが①の劣化機構と原因の取り違えです。「化学的侵食の原因は二酸化炭素」「塩害は硫酸・硫酸塩で溶ける」のように、劣化機構と原因を入れ替えた記述は誤りです。二酸化炭素は中性化、酸・硫酸塩は化学的侵食、塩害は塩化物イオンが原因です。
②の対策では、水セメント比を小さくすると中性化・塩害・凍害には効きますが、アルカリ骨材反応には効きません。アルカリ骨材反応は反応性骨材を避け、低アルカリ形や混合セメントを使い、アルカリ総量を抑えます。
問題:化学的侵食は、二酸化炭素が原因でコンクリートが侵食される現象である。
〇か×か。
答え:×
二酸化炭素が原因なのは中性化です。化学的侵食は酸や硫酸塩などによる劣化です(令和7年度 2級 No.19)。
問題:中性化深さは、構造物完成後の供用年数の二乗に比例すると考えてよい。
〇か×か。
答え:×
中性化深さは、一般に供用年数の平方根に比例します(√t則)。二乗ではありません(令和6年度 1級 No.25)。
問題:アルカリシリカ反応の対策として、通常の早強ポルトランドセメントを使用する。
〇か×か。
答え:×
アルカリシリカ反応の対策は、低アルカリ形セメントや混合セメントを使い、アルカリ総量を3.0kg/m3以下に抑えます。早強ポルトランドセメントではありません(令和8年度 2級 No.19)。
コンクリートの劣化には、中性化・塩害・アルカリ骨材反応・凍害などがあり、原因も対策も機構ごとに違います。
過去問は、劣化機構と原因・対策の組み合わせを入れ替えて誤りの選択肢をつくります。
中性化=二酸化炭素、塩害=塩化物イオン、アルカリ骨材反応=反応性骨材、凍害=凍結融解と、原因をセットで覚えるのが近道です。
参考資料
※ 数値・対策は標準的な内容です。基準の改定や現場条件で変わるため、最新の資料で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年6月