令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.44は、シールド工法の施工について、適当でないものを選ぶ問題です。
切羽の安定、セグメントの組立て、裏込め注入工、地盤変位の防止という4つが並びます。
裏込め注入の時期が引っかけです。シールドが通った後にはテールボイドという空隙が残るため、裏込め注入は掘進後、速やかに行わなければならないとされています。
選択肢3は周辺地山が安定してから行うと書いています。安定を待つ間に空隙が沈下して、地表面の沈下やセグメントリングの変形につながります。
※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢3(最も不適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 掘進にあたっては、土質や土被り等の変化に留意し、掘削土砂の取り込み過ぎやチャンバー内の閉塞を起こさないように切羽の安定を図る | ○(正しい) | 取り込み過ぎは陥没、閉塞は掘進不能につながる |
| ⑵ セグメントの組立ては、所定の内空を確保するため正確かつ堅固に施工し、目開きや目違い等の防止について精度の高い管理を行う | ○(正しい) | 目開き・目違いは漏水と変形の原因 |
| ⑶ 裏込め注入工は、漏水の防止やトンネルの蛇行防止等に役立つため、シールド掘進後に周辺地山が安定してから行わなければならない | ×(誤り) | 時期が逆。掘進後、速やかに行わなければならない |
| ⑷ 地盤変位を防止するためには、シールドと地山との摩擦を低減し、ヨーイングやピッチング等を少なくして蛇行を防止する | ○(正しい) | 余分に地山を乱さない掘進をする |
シールドマシンの外径はセグメントの外径より大きいため、通過後にはテールボイドと呼ばれる空隙が残り、放置すれば周囲の地山が緩んで沈下します。
裏込め注入は、この空隙を埋めて地山の緩みと沈下を防ぎ、あわせてセグメントからの漏水防止、セグメントリングの早期安定、トンネルの蛇行防止に役立ちます。役立つからこそ、掘進後すぐに入れるという関係です。
選択肢3は挙げている効果は正しく、時期だけを「地山が安定してから」に置き換えています。地山が安定するのを待つという言い方は一見もっともらしく見えますが、その安定を作るのが裏込め注入の側です。
⑴は掘削土砂の取り込み過ぎとチャンバー内の閉塞を避けて切羽を安定させる管理、⑵はセグメントの目開きや目違いを防ぐ精度管理です。⑷はシールドと地山の摩擦を減らし、ヨーイングやピッチングを抑えて蛇行を防ぐという地盤変位対策です。したがって適当でないものは選択肢3です。
問題:裏込め注入工は、シールド掘進後に周辺地山が安定してから行わなければならない。
〇か×か。
答え:×
掘進後、速やかに行います。空隙を残すと地山が緩んで沈下します。
問題:地盤変位を防止するため、シールドと地山との摩擦を低減し、ヨーイングやピッチングを少なくして蛇行を防止する。
〇か×か。
答え:〇
余分に地山を乱さない掘進が地盤変位の防止につながります。
出典・参考資料
※ 土木学会「トンネル標準示方書 シールド工法編」は市販図書のため、本記事では注入圧や注入率などの数値には踏み込んでいません。問題文と選択肢も転載していません。
※ この記事の確認日:2026年7月