令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.45は、鋼橋の防食法について、適当でないものを選ぶ問題です。
塗装、耐候性鋼、電気防食、金属溶射という4つの防食法が1つずつ並びます。
金属溶射の皮膜の性質が引っかけです。溶かした金属の粒子を吹き付けて作る皮膜は多孔質で、表面には粗さが残ります。そのため孔をふさぐ封孔処理を行います。
選択肢4は皮膜の表面に粗さがなく平滑であると書いており、実際と逆です。
※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢4(最も不適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 塗装は、鋼材表面に形成した塗膜が腐食の原因となる酸素と水や、塩類等の腐食を促進する物質を遮断し鋼材を保護する防食法である | ○(正しい) | 膜で環境を遮断する考え方 |
| ⑵ 耐候性鋼では、緻密な錆層の生成には、鋼材表面が大気中にさらされ適度な乾湿の繰り返しを受けることが必要である | ○(正しい) | 乾湿の繰り返しで保護性の錆が育つ |
| ⑶ 電気防食は、鋼材に電流を流して表面の電位差をなくし、腐食電流の回路を形成させない方法であり、流電陽極方式と外部電源方式がある | ○(正しい) | 電位差をなくして腐食電流を止める |
| ⑷ 金属溶射は、加熱溶融された微細な金属粒子を鋼材表面に吹き付けて皮膜を形成する方法であり、得られた皮膜の表面は粗さがなく平滑である | ×(誤り) | 皮膜の性質が逆。溶射皮膜は多孔質で粗さがあり、封孔処理を行う |
金属溶射は、亜鉛やアルミニウムを加熱して溶かし、微細な粒子として鋼材表面に吹き付ける方法です。溶けた粒子が積み重なって皮膜になるため、内部に細かな孔が残る多孔質の皮膜になり、表面も粗くなります。
この孔をそのままにすると水や塩分が入り込むため、封孔処理で孔をふさぎます。皮膜が平滑にできるのであれば封孔処理は要りません。処置の存在から皮膜の性質を逆算できます。
選択肢4は「加熱溶融された微細な金属粒子を吹き付けて皮膜を形成する」という前半は正しく、皮膜の性質だけを反対に書いています。
⑴の塗装と⑵の耐候性鋼は、どちらも表面の膜や錆層で酸素と水を遮る考え方です。⑶の電気防食は電流を流して表面の電位差をなくし、腐食電流の回路を作らせない方法で、流電陽極方式と外部電源方式があります。したがって適当でないものは選択肢4です。
問題:金属溶射で得られた皮膜の表面は、粗さがなく平滑である。
〇か×か。
答え:×
溶射皮膜は多孔質で粗さがあり、封孔処理を行います。
問題:電気防食は、鋼材に電流を流して表面の電位差をなくし、腐食電流の回路を形成させない方法である。
〇か×か。
答え:〇
電位差を大きくするのではなく、なくす方向の処置です。
出典・参考資料
※ 日本道路協会「鋼道路橋防食便覧」は市販図書のため、本記事では便覧の条項・膜厚などの数値には踏み込んでいません。問題文と選択肢も転載していません。
※ この記事の確認日:2026年7月
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