令和5年度(2023年)1級土木施工管理技術検定 第一次検定(問題A)No.58は、工事現場に設置する仮設の現場事務所について、建築基準法令上正しいものを選ぶ問題です。
工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場は仮設建築物にあたり、建築基準法の制限の多くが緩和されます。緩和されるものと、緩和されずに守るものの線引きが問われます。
緩和される側に入るのは、建築確認の手続き、敷地の衛生と安全(湿潤な土地の措置・がけ崩れの措置)、接道義務などです。いっぽう構造耐力は緩和されず、仮設の現場事務所にも適用されます。
選択肢4だけが緩和されない側の規定を述べており、これが正しい記述です。
※ 問題文の原文は、全国建設研修センターが公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢4(建築基準法令上、正しい記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| ⑴ 工事に着手する前に、計画が建築基準関係規定に適合することについて建築主事の確認を受けなければならない | ×(誤り) | 建築確認の手続きは緩和される(仮設の現場事務所に確認は不要) |
| ⑵ 湿潤な土地、出水のおそれの多い土地に建築する場合は、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければならない | ×(誤り) | 敷地の衛生及び安全の規定は緩和される側 |
| ⑶ がけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合は、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない | ×(誤り) | ⑵と同じ規定の中の措置で、これも緩和される側 |
| ⑷ 自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造でなければならない | ○(正しい) | 構造耐力は緩和されない。仮設でも安全な構造とする |
仮設建築物の緩和は、手続きと立地に関する規定をまとめて外すものです。確認の手続き、敷地の衛生及び安全、接道義務などがこれにあたります。工事が終われば撤去する建物に、恒久的な建築物と同じ手続きと立地条件を課さないという考え方です。
これに対して、建物が自重や積載荷重、積雪、風圧、土圧、水圧、地震に耐えられるかどうかは緩和されません。中で人が働く以上、倒れない・壊れないことは仮設でも同じだからです。したがって選択肢4が正しい記述です。
選択肢2と3は、どちらも敷地の衛生及び安全に関する同じ規定の中身です。湿潤な土地への盛土や地盤の改良、がけ崩れに対する擁壁の設置は、恒久的な建築物には求められますが、仮設建築物では緩和されます。もっともらしい安全対策が並ぶので、内容の是非で選ばないことが要点です。
令和7年度は同じテーマが逆向きで出ています。そちらは緩和が適用されないものを選ぶ形で、正答は居室の換気でした。緩和される側(確認・敷地の衛生安全・接道)と緩和されない側(構造耐力・換気)の2列で覚えると、どちらの向きでも答えられます。
問題:工事現場に設ける仮設の現場事務所を建築する場合は、着手前に建築主事の確認を受けなければならない。
〇か×か。
答え:×
建築確認の手続きは緩和されます。
問題:仮設の現場事務所も、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造でなければならない。
〇か×か。
答え:〇
構造耐力は緩和されません。
出典・参考資料
※ 条番号は本文に出していません(設問が条番号を問う形式ではないため)。仮設建築物の緩和を定める条文の列挙そのものは、e-Gov法令検索が本文を取得できない形式のため実本文を確認できておらず、上記の官公庁ページと当サイトの既検証記事で照合しています。問題文と選択肢も転載していません。
※ この記事の確認日:2026年7月